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Wed, 07 June 2023

本当に使える会計

経営において会計は身を守る防具だけでなく、勝ち抜くための武器にもなります。英国日系企業の経営者が知っておきたい会計トピックを、会計のプロが分かりやすく解説。

財務報告基準FRS102とFRS105の改正

財務報告基準FRS102はもともと2013年3月に発表され、2015年1月1日以降に始まる会計期間の事業体に適用されました。その後、FRS102の中の小企業向け開示要求項目である、セクション1Aと零細企業向けのFRS 105が2015年7月に公表されています。2017年12月、財務報告評議会(FRC)は今回が初めてとなる、3年に1度の基準見直しの変更点を発表しました。

新しい財務報告基準は、うまく機能していないのでしょうか。

今回の改正は大きな変更ではありませんが、基準を徐々に改善し明確にするもので、財務報告を行う企業には恩恵があるはずです。FRCは利用者からのフィードバックを基に、実際にFRSがうまく機能していると考えています。

FRS 102の主な改正点はどのようなものですか。

財務報告書に直接的に影響を与える主な改正点は次の通りです。

  • ● 過度の費用または労力の免除規定: FRCは、過度の費用または労力の免除規定を撤廃しました。こうした免除規定が当初意図していたように適用されていないことが明らかになったためで、一部の企業はこれを会計方針の選択として利用していました。例えば、投資不動産を保有する企業は、各決算日に公正価値で計算しなければなりません。今後は公正価値の評価を回避するために、過度の費用または労力の免除規定を利用することはできません。
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  • ● グループ内の投資不動産: 投資不動産をグループ内の別会社に賃貸している企業に対して、会計方針の選択が導入されました。グループ会計における過度の費用または労力の除外規定の撤廃により生じる新たな作業の見返りとして、企業はこうした不動産を公正価値、または減価償却と減損を除いた費用のいずれかで処理できます。

  • ● 取締役の融資: 取締役兼株主、または取締役兼株主の近親者から受ける融資に関して、小企業に対する改正が導入されました。こうした融資は現在、価値ではなく取引価格で算出できます。

  • ● 無形資産: 企業合併で取得した無形資産を別個に認識するか、またはのれん代に含めるかという選択肢を企業に与える改正が行われました。

  • ● 取締役の融資: 基本的な金融商品に関する原則ベースの記載が新しくなりました。この記載を適用すれば、「基本的」と見なされる金融商品が増える可能性があるため、おそらく企業の財務諸表の作成が簡素化されるでしょう。

FRS105に対しては、どのような改正が行われましたか。

従業員数と簿外取引に関する新たな2点の開示情報があり、これらは貸借対照表の脚注に示さなければなりません。また財務諸表では、企業が登記されている英国内のエリア、企業の登記番号、公開会社か非公開会社か、及び株式会社か保証責任会社か、企業が登記された登記所の住所、必要な場合には企業が事業活動を終える予定であるという事実を述べる必要があります。

こうした改正はいつから施行されますか。

FRS102の改正はすべて、2019年1月1日以降に始まる会計年度に適用させなければなりません。早期の適用は、すべての改正を早期に適用させるのであれば認められます。ただし例外は、取締役の融資に対する優遇措置と、寄付に対する税制優遇であるギフト・エイドの会計上の明確化で、これらは別個に早期適用ができます。FRS 105の改正は、2017年1月1日以降に始まった会計年度に適用されます。

イアン・ロウ イアン・ロウ
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会計監査部署に所属。25年以上の経験を様々なビジネスにて駆使し、また財務会計に関して企業の立場からアドバイスを提供する姿勢から、多くのクライアントの信用を得ている。

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