英国、15日にTPP加入
12カ国体制でトランプ関税に対抗
11月28日にカナダのバンクーバーで開かれた閣僚級の「TPP委員会」。英国からはダグラス・アレキサンダー貿易政策・経済安全保障担当国務相(写真手前)が出席
(12月13日 時事)日豪など11カ国の環太平洋連携協定(TPP)に15日、英国が加入する。2018年のTPP発効後、新規加盟は初めて。インド太平洋地域の経済連携の枠組みは欧州に拡大し、12カ国体制になる。米国では、TPP離脱を決めたトランプ前大統領の返り咲きが来年1月に控える。広域での自由貿易を推進し、高まる保護主義に対抗する。
加入を前にした13日、ロングボトム駐日英国大使は東京都内で記者会見した。「アジア太平洋地域を越えた真のグローバル協定へと進化する」と述べるとともに、「グローバルなルールに基づく貿易システムは、今後重要性が増すばかりだ」と強調した。
英国の加入により、TPP参加国の国内総生産(GDP)は計2200兆円規模となり、世界の約12%から約15%に上昇する。日本の輸出にかかる関税撤廃の対象も日英2カ国の経済連携協定(EPA)から拡大し、精米やパックご飯などが加わる。また、今年11月にはコスタリカの加入手続き開始が決定。中国や台湾、インドネシアやウクライナなど6カ国・地域が申請中だ。
一方、トランプ氏は一律10~20%の関税に加え、国境を接するメキシコやカナダに25%の関税を課すと表明。TPP離脱後に発効した日米豪など14カ国によるインド太平洋経済枠組み(IPEF)にも後ろ向きの姿勢を示す。自由貿易への風当たりが世界的に強まるなか、意義を打ち出せるかが課題となる。
英TPP加入で日本米の輸出拡大へ
(ロンドン 12月16日 時事)英国が15日、環太平洋連携協定(TPP)に加入した。日英経済連携協定(EPA)で見送られたコメの関税撤廃が実現し、日本政府や農家が日本産米の輸出拡大に期待を膨らませている。おにぎりを軽食として売り込む考えで、政府関係者は「サンドイッチに取って代わるくらい浸透してほしい」と意気込んでいる。
日本貿易振興機構(JETEO)が11月にロンドンで主催した日本米のイベントでは、おにぎりをその場で握って振る舞う演出を通じ、水分を多く含む日本米の炊き方を紹介。産地や銘柄によって変えることで、おいしさが増すことを説明した。
英国で流通しているジャポニカ米はイタリア産やスペイン産が多く、日本産は高級店などでしか使われていない。円安を追い風に対英輸出は伸びているが、香港や米国の1割前後にとどまる。