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ロンドンのゲストハウス
jeu 19 octobre 2017

エコ・ガーデンで野菜と果物を育てよう!

ここ数年でBIO食材や環境 保護などへの意識が高まり、パリでも Jardin partagé(共同庭園)や自宅のベランダで自給自足をしたいという住民が増加して いる。公園の緑地の一画だけではなく、都心部のビルの屋上にも畑を作って野菜を栽培するなど、様々なAgriculture urbaine(都市型農業)の可能性が 広がるパリで、どんな風にガーデニングライフを楽しめるのだろうか?スペシャリストへのインタビューや共同庭園の参加者の様子を通じて、21世紀型エコ・ガーデンをレポート! (Texte et Photos: Atsuko TANAKA)

「緑の手」は誰にでもある。
エコロジーな庭園作りを楽しんで

パリの共同庭園に創立当初から関わり、現在はEco paysagiste(エコ・ペイザジスト)、造園家としてパリ市公認のガーデニング講座を担当するなど、エコ・ガーデンのスペシャリストとして幅広く活躍するセシル・コンタさんにインタビュー。共同庭園の成り立ちからエコ・ガーデンの考え方まで、都市型農業の基礎知識を語ってくれた。

セシルさんCecile CONTAT(セシル・コンタ)
エコ・ペイザジスト(造園家)。パリ生まれ。食品会社に勤務していた2002年、12区の共同庭園に参加。その後、ランドスケープデザイナー、造園家として独立。多様な原産地の植物栽培に精通し、ナチュラルかつコンテンポラリーな庭作りを提唱する。2010年より講師活動を開始、現在はパリ郊外にある国立造園学校の実習生を受け入れ、後進の育成も行う。cecilecontat.fr

Q. 共同庭園のルーツは?

A. Jardin partagé(共同庭園)のルーツは1970年代のニューヨーク、空いた土地を共同で耕したいという市民が働きかけて始まったコミュニティ・ガーデンです。その後パリにも導入したいと市が指揮を執り、2003年に「Charte main verte」(緑の手憲章)というプロジェクトが生まれました。そこから徐々に共同庭園を運営するアソシエーションが増加し、今ではパリ市内に約100前後の共同庭園があります。

Q. パリと近郊の庭園だけで自給自足の可能性は?

A. パリのJardin partagé は創立当初からしばらくの間は、住人達の憩いの場のような、親交を深めるクラブ活動的な意味合いが強かったですね。それが、本当にこの3、4年くらいで有機野菜や果物を育てることにパリジャンも強い関心を持つようになり、たくさんの問い合わせが私のところにも来るようになりました。都市型農業というコンセプトが普及して、今では屋上庭園のプロジェクトも広がっています。

パリと近郊の耕地と人口比率を見ると、完全な自給自足はさすがに無理ですが、昔よりも有機食材が入手しやすくなっていますし、自作の野菜や果物を最大限に取り入れて、環境に優しくオーガニックな食生活を実践することは可能だと思います。

Q. エコ・ペイザジスト(造園家)とは?

A. 化学肥料を使わないオーガニックで、生態系に配慮し たエコ・ガーデンを作ることが第一にありますが、私にとっ てはそれだけでなく、日常生活の中でも環境汚染をできる 限り避けて、持続可能な世界を目指すことも含まれていますね。  

農薬を使わずに害虫による被害を防ぐためには、育てる植物の選び方や組み合わせ、土造りの段階から総合的に見て取り組む必要がありますが、そうすれば、Biodiversité (生物の多様性)の中で作物を病気にさせずに無事育てることができます。よく「私には緑の手がない」なんて言う人がいますが、そんなことはありません(笑)!知識とコツさえつかめば、誰にだって植物は育てられるんですよ。

Q.初心者でもできる?

A. ガーデニング未経験の人は、まず私がやっているパリ9区のアトリエに参加するのがおすすめです(下欄参照)。また「自宅のベランダで野菜を育てたい」といったリクエスト がある場合は、個人レッスンも受けています(50€/2時間)。ちなみに、初心者だったら最初はイチゴとプチトマトを育てると良いですよ。イチゴは3月、プチトマトは5月が種植えの時期です。

ガーデニング
ガーデニング講座が開催されるパリ9区の文化センター「Tour des Dames」には、セシルさんが生徒のため特別に設えた屋上菜園が。

ガーデニング
土作りから種植え、剪定や収穫まで、セシルさんが実地で伝授してくれる。青空の下、土に触れながら自然と笑顔になる生徒達。


ガーデニング
毎週金曜の17時から18時までは、4歳から6歳までの子供向けガーデニング講座を開催。エコロジー教育の第一歩に。

ガーデニング
日本の伝統文化「苔玉」に魅了されたセシルさんが開講したアトリエKOKEDAMAは、子供から大人まで幅広い層のパリっ子に大好評。


セシルさんのおすすめアトリエ情報

「Réussir son Potager Urbain」(都市型菜園の成功の秘訣)
日時:5月28日、6月18日、7月2日の10:30〜12:00
対象年齢:10歳から大人まで
値段:1時間2.14€ 〜(納税額に応じて変動)
Centre d'animation Tour des Dames
14-18, rue de la Tour des Dames 75009 Paris
http://ligueparis.org/centre-animation/9eme-arrondissement/tour-dames/

パリの共同庭園で都市型農業を体験!

パリの共同庭園 Potager des Oiseaux

現在パリ市内に100カ所近くあるという共同庭園(Jardins partagés)。フランスでは19世紀末から労働者庭園(Jardins ouvriers)と呼ばれる共同農地が存在し、第二次大戦後は家族庭園(Jardins familiaux)という名に変わり、今もヴェルサイユなどパリ近郊に残っている。2002年に誕生したパリ市の共同庭園プロジェクトは、当初12区と18区を中心に市東部エリアで発展。現在は市の全域に広がっている。

ポタジェ・デ・ゾワゾー Potager des Oiseaux3月の冬らしく冷え込んだある週末の朝、3区ブルターニュ通りにあるパリ最古のマルシェ・デ・ザンファン・ルージュ奥の一画にひっそりと佇む庭園「ポタジェ・デ・ゾワゾー」を訪ねてみた。

Potager des Oiseaux
2 rue des Oiseaux 75003
potagerdesoiseaux.blogspot.com


参加者コメント

シルヴィーさん
シルヴィーさん
シルクスクリーン製版職人

2004年の立ち上げから参加しています。ガーデニングが昔からの趣味で、独学で知識を貯えていたので、ここで 栽培する植物の選択から育て方まで担当しています。あとは、畑に掲示している見取り図も作成しています。

シルヴィーさん
ジョアキムさん
スタイリスト

普段は広告関係のスタイリストをしていて、農業と全く縁のない生活だったのですが、4年前に友人に誘われ参加するようになりました。先輩会員達に教わ りながら自然に学び、今は毎週土に触らないとソワソワしてくるくらい(笑)。

シルヴィーさん
ジョエルさん
元教師

庭園の企画段階から参加した発起人の一人です。定年後、ここでの活動は生活の大切な一部になっています。これまでに敷地内で詩の朗読をする「ソワ レ・ポエジー」など、文化イベントも開催しました。


開園日はビジター歓迎

毎週土曜と日曜の午前11時〜13時までが、ポタジェ・デ・ゾワゾーの開園日。土曜午前、まだ人のあまりいないマルシェ脇の入口から庭園を覗くと、主催者の一人ブリューノさんが一番乗りで準備を始めていた。

「ようこそ、はじめまして。ここは私達アソシエーションがパリ市から土地を無期限で貸与してもらい、開園日はビジター歓迎で一般解放する決まりになっているんだよ」と温かく迎えてくれた。こぢんまりとした敷地は約30の区画に分けられ、それぞれハーブや野菜、果物や花が植えられている。

「現在の参加者は30人くらい。原則的に3区の住民限定で、アソシエーションに志願メールを送ってくれたら、誰でも入れるよ」と、希望者はその区の住民であれば全員参加できるようだ。

「ただし、ここは面積が小さいから、全部の畑をメンバー全員で耕しているんだ。毎週末収穫された野菜や果物は、少しずつ分け合って持ち帰るけど、大した量にはならない。それよりも、皆でワイワイ話し合いながら土に触れて庭仕事をする楽しみが、この畑の醍醐味だよ」。そんな彼の言葉に、後からやってきたメンバー達もうなずいた。

オーガニックな畑作りの秘訣

敷地内にあるロッカーには、種や土のストックにスコップ等の道具、虎の巻のような資料ファイルがしまってある。メンバー達は中の資料を確認してから、思い思いの農作業に取りかかり始めた。

「この庭園はプロの指導者を立てず、皆が独学で試行錯誤しながら知識を付けていったんだ。私もここに参加する前は、まったくの素人だったよ」とブリューノさん。  

では栽培する植物は、どうやって決めているのだろうか?  

「育てるのは野菜だけではなく、ハーブや花もあるし、リンゴや梨の木も塀に沿って植えている。 Biodiversité(生物の多様性)が、畑作りにはとても大切なんだ」と語る。年間を通じて様々な植物を栽培しながら土壌を循環させているのだ。この日も梨の木の剪定(せんてい)を指導するなど、すっかり畑作りに詳しくなったブリューノさんだが、普段は公務員として働いているそうだ。  

庭園内の植物はすべて有機栽培。これはパリ市が共同庭園を始めた当初からの規定で、「空いている土地を提供してもらう代わり荒れ地にせず、化学肥料を使わないで耕していくことになっている」とのこと。

共同庭園
気心の知れたメンバー達は、種植えに没頭したり、井戸端会議に花を咲かせたりと、それぞれが自由に楽しみながら都市型農園のひと時を過ごす。

ガーデニング
土作りから種植え、剪定や収穫まで、セシルさんが実地で伝授してくれる。青空の下、土に触れながら自然と笑顔になる生徒達。


共同庭園
参加者の日本人アーティスト、Rieko Koga さんが担当する区画はミクロ日本庭園。小さな子供にも人気のスペースだ。

共同庭園
アソシエーションの実行委員の一人で、スポークスマン的な存在のブリューノさん。庭園の設立数年後からの参加ながら、今では園芸のエキスパートに。

世代を超えた交流の場

ポタジェ・デ・ゾワゾーは2004年に設立。参加者層は幅広い。「世代もバラバラで、家族で参加している会員もいる。定年後の趣味として来ている人もいるし、あとは外国人も」。中心となる年齢層は40〜60代。セカンドライフを送るシニア層はやはり多く、もともと近所付き合いをしていた昔なじみの友人同士で参加しているという仲良しグループもいた。

「毎週全員が必ず集合するわけではなく、その時どきで空いている人が集まるという感じかな。でも全員がこの小さな畑に来ちゃったら、かえって邪魔で作業がしにくくなるよ!」とブリューノさんは笑う。

そんな仲間達がぽつぽつと集う週末は、誰かが持ってきた手作りハーブティーを囲んで近況を話し合ったり、これから育てる作物について情報を交換したりと賑やかだ。その傍らでは、若手(?)メンバーのジョアキムさんが一人黙々と空豆の種植えに没頭している。植物の栽培を統括しているシルヴィーさんは、大きな脚立をもう一人の仲間と担ぎ、狭い通路に何とか置こうと四苦八苦している。誰もが自由に楽しみながら、自然に役割分担ができている様子だ。

BIO空豆の植え方

シルヴィーさん
1 BIOの空豆を植えるところ。まずは種の袋にある説明を確認。

シルヴィーさん
2 土の上に筋をつけてから、ラインに沿って間隔を空けながら植えていく。

シルヴィーさん
3 種を植えた列に合わせ支柱を立て、糸を 張っておく。


毎年10月はスープ祭りを開催

パリ市では全ての共同庭園に対し、最低年に2回は一般開放し、何かしらのイベント(Animation)を開催して地域に貢献することを推奨している。この庭園のメインイベントと言えるのが「La soupe au potager」、ポタジェのスープのお祭りだ。「毎年10月になると、その年に穫れた野菜で大量にスープを作り、庭園の中で皆で食べる。もちろん一般客にも解放してね。この日のために、毎週末皆が少しずつ持ち帰った野菜の一部を自宅で冷凍保存しておくんだよ」。この収穫祭に匹敵する大イベントで作るスープが好評で、アソシエーションが主体となってレシピ本まで作ったという。ポタジェ・デ・ゾワゾー以外にも、市内の複数の共同庭園が畑で穫れる野菜を使ったオリジナルレシピを提供し、ブリューノさんが中心となって冊子にまとめた。

共同庭園
毎年10月のスープ祭りのほかにも展覧会やコンサートなどの文化系イベントを開催し、近隣の住民達に親しまれている。

共同庭園のオリジナルレシピブック
ポタジェ・デ・ゾワゾーの企画発案で出版された共同庭園のオリジナルレシピブック。その名も「Recettes à partager」、定価10€で通信販売のみ。potagerdesoiseaux.blogspot.com


参加費用は?

その他エキスポやコンサートなど多種多様な文化イベントを開催しているポタジェ・デ・ゾワゾーだが、参加費用は年間15€、家族会員は一世帯で20€だという。ただし「幸いにもレシピ本が好評で、今うちの運営費用はこの売り上げで賄えるくらいになっているよ」とブリューノさんは誇らしげだ。とはいえ地代が無料だから、種や土を取り寄せたりスコップなどの道具類を購入するくらいで、会員で割ればそこまで費用はかからない。土を作り、種を植えて、丹念に手をかけて作物を育てていく。仲間と共に、丹誠込めて栽培した有機野菜や果物の味は格別に違いない。

共同庭園は区によっても規模や会員数が異なるので、運営方法は千差万別。このポタジェ・デ・ゾワゾーのような完全共有タイプもあれば、一世帯に1ブロック割り当てで、自由に栽培できる畑も存在するそうだ。公園内の一画に設置されている庭園も多いので、近所に気になる畑を見つけたら、まずは開園日に立ち寄って参加者に話を聞いてみてはどうだろう?地域と繋がりながら、自然と触れ合うアーバン農業活動は、きっと大人にも子供にも有意義な体験になるはず。

※市内の庭園リストはこちらから:http://www.jardinons-ensemble.org

 

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*本文および情報欄の情報は、掲載当時の情報です。

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