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Sat, 06 March 2021

第11回 Stratford-upon-Avon
ナロー・ボートに乗り換えて

18 November 2010 vol.1276

Stratford-upon-Avon

敦子さんとの初対面

旅の最終地点で待ち合わせをしていた敦子さんのナロー・ボートは、ストラトフォード運河最後の56番ロックの手前にある、48時間リミットの船溜まりに停泊していた。船溜まりの中の浮桟橋を渡りながら訪ね回って、どうにか敦子さんとの初対面にまでこぎ着けた。

前にも書いたが、昨年の夏にロンドンに偵察に来た際に、英国ニュースダイジェストのオフィスを訪れた。そのとき編集部から紹介されたのが、敦子さんだったのである。それまではテムズ河を漕ぐつもりでいたのだが、敦子さんにグランド・ユニオン運河を勧められたおかげで、今回の旅が実現できた。

この夜、初めてナロー・ボートの中で寝た。水道の水と草枕におさらばし、久々にシャワーを浴び、ベッドで休むことができて、生き返った。

敦子さんのナロー・ボートは、ロックを抜けて、エイボン河へと出て行った 写真:吉岡嶺二
敦子さんのナロー・ボートは、ロックを抜けて、
エイボン河へと出て行った
写真: 吉岡 嶺二

ナロー・ボートの中を探検

敦子さんは、ご主人のアンディ・ブラウンさんと共同で、ナロー・ボートでのクルーズを行う会社「キャプテン・プーク」を運営されている。「プーク」は、ナロー・ボートの船長を務める犬の名前。今回私がお世話になったアト・イーズ(at ease)号はキャプテン・プーク社の2代目で、今年5月に進水したばかりである。

鋼鉄製の船体は造船所に発注したが、内装その他はご夫妻自身で作り上げたのだそうだ。船首がオープン・ラウンジになっていて、そこからリビング・ルーム(夜はサブ寝室)、キッチン、シャワー、トイレ、ゲスト・ルーム(寝室)、クルー室、事務室と細長く続き、最後にスターン・デッキが操舵スペースになっている。リビングに置いてあるソファやテーブルは、独自に設計したもの。畳んでしまえばすっきり広いスペースにもなるが、夜はベッドに早替わりする。ベッドの方向は船に直角、通路はない代わりに長々広々のツイン・ベッドになるので、日本人客には好評なのだそうだ。室内の合板の壁はご主人の大工仕事、クロス貼りは奥様。薪ストーブまで設置されているという。

日本では、私もカヌーのほかに長いことヨットを持ち続けている。チビ舟ながら木造だから、自分勝手な改造は長々と尽きることがない。ブラウン夫妻も、まだまだやることがいっぱいあるそうだ。内外の塗装を施したら、ボートは様変わりするだろう。今は赤色に塗っただけの状態だが、これから一体どんな絵が描かれるというのだろうか。

家内と一緒にまた戻って来よう

翌朝、日本から5人連れのお客がやってきた。岡山から来たという3世代家族だが、なんとおじいちゃんは87歳、車椅子を使っておられた。2泊3日でエイボン河を下るのだという。

アンディさんがウィンダラスと呼ばれる道具を使って、エイボン河へ出るロックの扉を開いた。舵棒を握った敦子さんによる見事な操作によって、ナロー・ボートはロックを出ていく。5人組一行の表情はちょっと緊張気味。ボン・ボヤージュ!

今度は、家内と一緒に来ることにしよう。新たな旅の貯金ができた。カヌー仲間たちもナロー・ボートでの旅についての情報を待っている。アト・イーズ号の内部構造までも詳しく書き取っておいたので、日本に帰ってから土産話をするのが楽しみだ。


 
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吉岡 嶺二(よしおか・れいじ)
1938年に旧満州ハルビンに生まれる。早稲田大学卒業後、大日本印刷入社。会社員時代に、週末や夏休みを利用して、カヌーでの日本一周を始める。定年後は、カナダやフランス、オランダといった欧州でのカヌー旅行を行っている。神奈川県在住。72歳。
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