日英首脳が「広島アコード」を発表
安全保障や経済の協力強化
日英首脳会談を前に、握手を交わす岸田文雄首相(右)と英国のリシ・スナク首相=5月18日、広島市南区[代表撮影]「時事」(JIJI)
(5月18日 時事)岸田文雄首相は5月18日夜、スナク首相と先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれる広島市で会談した。両首脳は安全保障や経済分野の協力強化をうたった共同文書「広島アコード」を発表。日本側は自衛隊による英軍への武器等防護の検討を打ち出し、英側は空母打撃群を2025年にインド太平洋に再派遣する計画を表明した。
自衛隊が他国軍の艦艇や航空機を守る武器等防護は、米国とオーストラリアを対象に実施済みで、英国に対して実現すれば3カ国目となる。アコードには、日本が4月に国会承認した円滑化協定(RAA)を活用した合同演習も明記。豪州と並ぶ「準同盟国」の色彩が一段と強まる。
インド太平洋地域を中心に中国が覇権主義的な動きを強めるなか、日英は安保面の連携を深めてきた。21年には英最新鋭空母「クイーン・エリザベス」が日本に寄港。互いに物資を融通することを可能にする物品役務相互提供協定(ACSA)もすでに締結している。アコードにはこのほか、半導体のサプライチェーン(供給網)構築など経済安保に関する対話推進や、サイバー分野の官民連携を通じた能力強化を盛り込んだ。国連安全保障理事会改革や核軍縮・不拡散の取り組みの重要性も確認した。
岸田首相はこれに先立ち、イタリアのメローニ首相と会談。日英伊3カ国による次期戦闘機の共同開発を進め、防衛協力を深化させることで一致した。
半導体産業対話を創設する日英共同声明を公表
(5月19日 時事)経済産業省と英国の科学・イノベーション・技術省は5月19日、半導体分野での連携強化に向けた共同声明を公表した。貿易・投資の促進に向けて官民による半導体産業対話を創設するほか、最先端品の設計や製造などで共同研究を実施する。
ソフトバンクグループ傘下のアームが本社を置く英国は、半導体設計などの分野で強みを持つ。日本は連携強化を通じ、経済安全保障上、重要性が増している半導体のサプライチェーン(供給網)強化につなげたい考えだ。共同声明には、両国間で産学官交流を促進するための専門家派遣なども盛り込まれた。岸田文雄首相とスナク首相は同18日、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に先立ち会談し、半導体のサプライチェーン構築など経済安保に関する対話推進を確認していた。