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Wed, 13 November 2019

相続税とその対策

給与には所得税、そのお金を貯蓄した金利にまた所得税、そしてそれを譲渡したい人に残すと、さらに相続税!と、相続税を嫌う方は多いと思います。また、相続税をなるべく回避し資産を全て子供に残したいとおっしゃる方も多いでしょう。今回は相続税とその対策についてご説明します。

英国の相続税について教えて下さい。

英国では死亡時の総資産(Estate)のうち、非課税枠(Nil Rate Band =NRB)の32万5000ポンドを超えた金額に対して一律40%の相続税がかかります。相続人が相続税を支払う日本と異なり、英国では被相続人(死亡した方)のEstate(遺言執行人や法的責任者が具体的な手続きをします)から相続税をまず支払い、残りの資産を相続人に分配します。

夫婦間の相続税はどうなりますか。

英国定住者(Domicile)同士や非英国定在者(Non-Domicile)同士の相続は金額に関係なく非課税ですが、Domicileの財産をNon-Domicileが相続する場合は、通常相続税がかかってしまいます。しかし、Non-Domicileの配偶者が定住者になることを選択すれば両者ともDomicileとなりますので、相続税は発生しません。ところで、前述のNRBは死亡した配偶者の枠を引き継ぐことができますので、ご夫婦の場合、例えばご主人が死亡し奥様が全て相続、その後奥様が他界された際には£325,000x2=£650,000までが非課税となります。

自宅を子供に残す場合に何か控除はありますか。

自宅を直系子孫(子供、孫、義理の子供など)に残す場合は、前述のNRBに加え追加の非課税枠(Residence Nil Rate Band=RNRB)が適用されます。現在1人15万ポンドですが、来年度からは17万5000ポンドとなりますので、夫婦の非課税枠は100万ポンド(£325,000x2+£175,000x2) となります。ただ、Estateが200万ポンド超になりますと、超えた金額の半分がRNRBから引かれてしまいますのでご注意ください。

相続税計算例1
夫婦が死亡、直系子孫が相続

自宅 £800,000
銀行預金 £200,000
Estate合計 £1,000,000
RNRB £150,000x2 (£300,000)
NRB £325,000x2 (£650,000)
相続税課税資産 £50,000
相続税@40% £20,000

(2019/20税年度)

今年日本にいた父が亡くなりまして、相続を受けました。日本で相続税を払いましたが英国でも払うのでしょうか。

いいえ、英国では被相続人のEstateが相続税を払いますので、受け取った方にはかかりません。相続資産を英国に送金しても同様です。

よく利用されている相続税対策は何でしょう。

簡単な方法は譲渡することです。英国では譲渡税はなく(トラストの場合例外あり)、譲渡後7年間生存すれば相続税はかかりません。7年以内に死亡した場合は、その譲渡資産に対する相続税額が譲渡の3年後から20%ずつ割引されます。また1税年度につき一人3000ポンドまでの譲渡や、チャリティーへの寄付は非課税です。さらに、生命保険をトラスト(信託)に入れると通常保険金は相続税対象外となりますので、保険金を相続税支払いに充てる方も多いです。

では、今住んでいる家を息子に譲渡し、7年間生存すれば相続税はかからないということですね。

譲渡は無条件なおかつ完全な譲渡でなければならず、譲渡後、その家に継続して住んでいる場合はいまだにその資産から恩恵を受けているので「制限つき譲渡」(Gift with Reservation)と見なされ、相続税対象になる可能性大です。ただし、息子さんに適正な金額の家賃を払えば「譲渡」として扱われますので、7年間生存すれば相続税対象外となります。

相続税計算例2
独身の女性が死亡し、英国にいる姪が資産相続

自宅 £600,000
銀行預金 £100,000
Estate合計 £700,000
NRB £325,000x1 (£325,000)
相続税課税資産 £375,000
相続税@40% £150,000

(2019/20税年度)

私は独身です。生涯住宅ローン(Lifetime Mortgage=LTM)を利用すると老後に使えるお金が増え、相続税も減ると聞きましたが。

LTMは自宅を担保にした生涯ローンで通常55歳から借りられますが、70歳以降から利用される方が多いです。自宅に住んでいる間は返済をする必要がなく、死亡時や老人ホーム入居時などで引越す際に、金利を含んだローンをまとめて返済します。その際には担保の物件が売却されローンを返済、残りの金額がEstateとなりますので、結果的に相続税が少なくなるということです。高齢者の中にはLTMを利用し生活費を補助したり、レジャー用の資金を捻出する方もいらっしゃいます。ただし、金利は毎年かかりますので最終的に家を売却し返済する頃にはもとのローンよりずっと大きい金額になっている可能性もありますし、このローンの金利は通常の住宅ローンより高いのでご留意ください。LTMが万人に適していることはなく、将来引っ越す可能性があったり、ご家族に相続財産を多く残したいなどの場合はLTMが相応しいかどうか熟考する必要があります。専門家にご相談されることを強くお勧めします。

トラスト(信託)とは何ですか。

子供に資産を譲渡しますと、当たり前ですが、資産は子供たちの物になりますので、浪費されてしまったり、また子供が離婚した際には前の配偶者に譲渡資産の半分を取られてしまったりと、譲渡した方は資産の使用方法に影響を与えることはできません。代わりにトラスト(Discretionary=任意トラスト)へ譲渡し、ご自分がトラスティ(信託人)となれば金額、使用目的や時期など、トラスト資産の使用については全てご本人が決定できます。また譲渡後7年間生存すれば、相続税対象外資産となります。ただ、トラストの設定や運営はとても複雑ですので、こちらも専門家にご相談されることをお勧めします。

LTMの情報はDesmond O’Driscroll, Chartered Financial Plannerよりご提供いただきました。

※ 次回のマネー教室は12月19日に掲載致します。
当コラムは2019年10月時点の法制と税制に基づき一般的なガイダンスのために作成されており、皆様のご理解を深めるために内容を簡素化してある場合もあります。専門家の助言なしに記載情報にのみ基づき行動することはお控えください。その場合、筆者は一切責任を負いません。

 
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和枝ドゥルーリー APFS© 和枝ドゥルーリー APFS
日本人ファイナンシャルアドバイザー(CFP)。十数年間の米英系投資銀行勤務を経て、FAとして独立。日英両方の資格を有する。大手独立系FA会社に所属。
E-mail: info@kazuedrury-ifa.co.uk
Web: www.kazuedrury-ifa.co.uk

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