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花粉症でもマスクをしない人々

先週、風邪をひいている家族のために、薬局に風邪薬とのどあめを買いに出掛けました。店頭には抗ヒスタミン薬、点眼薬、鼻スプレーなどがずらりと並べられた花粉症用のコーナーが設けられていて、英国は花粉症の季節まっさかりだと気付きました。でも日本と決定的に違うのはどこにもマスクが並べられていないということです。
私が英国に来る前、日本では花粉症に悩まされていました。30代になってから、突然花粉症の症状が現れ、毎春、マスクが手放せなくなっていました。ところが、英国に来てからは、あんなにひどかった花粉症がぴたりと治まっていました。1年目は気付かなかったのですが、在英2年目に「何か違う」と感じて調べてみました。すると、英国にも花粉症はあるけれど、日本のスギやヒノキの花粉はないため、日本で花粉症だったからといって英国で症状が出るとは限らない、とのことでした。
自分の花粉症が出なくなったのに喜んだものの、不思議に思うことがありました。それは、英国でも花粉症に悩む人は多く、薬局に行けば薬がたくさん売られているのに、街中でマスクをしている人を1人も見かけないことです。そしてそれは冬に風邪をひいて、ひどい咳をしている人も同様でした。
「どうして風邪や花粉症のとき、マスクをしないの」と夫に聞きましたが「どうしてマスクをする必要があるの」と聞き返されてしまい、英国人にとっては一般の人が日常生活でマスクを着けるという意味が理解できないようでした。
それがよく分かったのはコロナ禍。日本では感染拡大の初期からマスクが普及していましたが、英国でマスク着用が義務化されたのは2020年7月とかなり時間を要しました。しかもマスクへの抵抗感がある人が多く、着けること自体を嫌がる人も少なくなかったように記憶しています。
日本のマスク文化のルーツは1918〜19年のスペイン風邪の流行時に政府がマスク着用を推奨したことが始まりともいわれます。その後、花粉症の爆発的な増加が普及を後押しし、コロナ禍でさらに拡大。日本では特に「自分を守るため」だけでなく「人に迷惑をかけないため」というのも、マスクをする大きな理由だと感じます。一方、英国では公共の場でマスクを着けることの方に違和感がある人が大多数。だから電車やオフィスでマスクをするのが当たり前、という空気にはこれからもならないような気がします。
実は私も、今ではたとえ風邪をひいていてもマスクをせずに出掛けてしまいます。これは「郷に入っては郷に従え」という気持ちなのか、あるいは一種の同調圧力ゆえなのか、自分でも不思議です。さて、みなさんはコロナ禍の時期以外に英国生活でマスクを着けて出掛けたことはありますか?



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