Sliding Doors(1998 / 英・米)
スライディング・ドア
電車に間に合った場合と乗り遅れた場合という、2つの異なる状況に横たわる運命の行方を探るラブ・ストーリー。
Alex.muller
監督 | Peter Howitt |
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出演 | Gwyneth Paltrow, John Hannah, John Lynchほか |
ロケ地 | Hammersmith Bridge, the River Thames in West London |
アクセス | 地下鉄Hammersmith駅から徒歩 |
- デカ長は運命って信じますか。
- 運命ねえ。まあ、時と場合によるな。
- なんかテキトーですねえ。
- 運命と思えば都合がいい時もあるのは確かだが、別に運命論者じゃないって話だ。
- そうですかあ。僕はすぐ「これは運命だ!」とか思っちゃいます。
- ジローの場合は主に女性関係だろ。運命って言えばドラマチックだが、お前はただ惚れっぽくてナルシストなだけだ。
- てへ。
- なんとなく頭のどこかに引っかかっていたことが現実になった時に「遅かれ早かれこうなった」と思うことはありますね。
- 本作もまさにそんな映画だね。
- ロンドンを舞台に、グウィネス・パルトロウ扮する主人公が、駅に駆け込んで行って電車に乗れた場合と、乗り遅れた場合に起こる2パターンのドラマを、同時進行で見せていくという設定ですね。
- テムズ河を上空から見下ろすシーン、エンバンクメント駅に始まり、全編通して丸ごとロンドンといった感じです。
- まず、ヘレンとジェリーが住むフラットはノッティング・ヒルのPrinces Square 62番地、またヘレンの親友アナのフラットは、カムデンのPrimrose Gardens 25番地となっています。
- どちらもポッシュだね。
- ちなみにヘレンが最初にジェームズと電車内で隣り合わせになる時、彼はビートルズの話を持ち出しますが、その後、アナが飲んだくれたヘレンを連れてタクシーに乗り込む際、運転手に行き先を「9 Menlove Ave」と伝えます。実はここ、ジョン・レノンが幼少期に住んでいたリバプールの家の番地なんだそうです。
- 地下鉄に間に合う / 乗り遅れるシーンは、ウォータールー & シティ・ラインのウォータールー駅で撮影されました。それから、映画内で頻繁に登場する橋は、チェルシーとバタシーを結ぶAlbert Bridgeですね。
- ジェームズがボート・レースをするシーンでも橋が出てきたよな。
- あの橋はHammersmith Bridgeです。実際、毎年春に180年の伝統を誇るオックスフォード大学 vs ケンブリッジ大学のボート・レガッタが行われていることで有名です。ちなみにレース後に打ち上げするパブは、橋の袂のLower Mallにある「Blue Anchor」というパブです。
- 良い雰囲気のレストランやバーもちょこちょこ登場していて気になるんだが。
- はい、まず「電車に間に合ったヘレン」がジェリーの浮気現場を目撃した後、飲んだくれる店は、ロンドンに6店舗を構える有名イタリア料理店「Bertorelli's」で、撮影されたのはソーホーのCharlotte Street店です。職を失ったヘレンが後にウェイトレスとして働くのもここですね。
- その場面で客がハンバーガーのことを冗談で「Mad cow burger」って言ってるんだよな。当時の狂牛病騒ぎを思い出すな。そういえばジェームズが、親友アナの家に居候中のヘレンを訪ね、その後、2人でミルクシェイクを飲むダイナーは?
- 東ロンドンにある1940年代のアメリカン・ダイナーを再現した「Fatboy's Diner」ですね。夕方5時までしか営業していないみたいですが、僕もここ気になってます。雑誌やミュージック・ビデオの撮影などにもよく使われているようですよ。
私は「たられば」っちゅーもんは考えるだけ時間の無駄だと思う人間だが、「運命のいたずら」なんて言葉もあるしな。本作には英国らしいジョークも多数登場するが、なかでも注目なのがモンティ・パイソンの引用句「スペイン宗教裁判にかかるよりマシだ」ってやつだな。「電車に間に合ったヘレン」は最初ジェームズに「元気の出るモンティ・パイソンの引用句は?」と聞かれて「人生いつも前向きに?」と答えるが「乗り遅れたヘレン」が最後に答えるのは……。ここが要だね。
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