The Damned United(2005 / 英・米)
くたばれ!ユナイテッド〜サッカー万歳!〜
名門チーム、リーズ・ユナイテッドの新監督の座に、大いなる期待とともに迎えられたブライアン・クラフ。しかしその44日後には解雇される羽目になり……。
監督 | Tom Hooper |
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出演 | Michael Sheen, Timothy Spall, Colm Meaneyほか |
ロケ地 | Elland Road |
アクセス | LondonのKing's Cross駅からLeeds駅まで列車で約2時間半。その後、バスかタクシー。 |
- サッカー・チームで「ユナイテッド」と言えば……。
- マンチェスター・ユナイテッド?
- ですよね。僕もてっきり本作はマンU関連かと。しかしフタを開けたら、リーズ・ユナイテッドのことだったのでした!
- 50〜60年代に活躍した名将ブライアン・クラフ。現役時代は213試合に出場し、197得点という見事な成績を残してますが、試合中に靭帯を損傷するケガを負い、弱冠 27歳で選手生命を絶たれてしまいます。そのクラフとリーズUの関係というのが……。
- いわゆる「因縁」ってやつだ。
- 本作はクラフがリーズUの監督に就任し、スタジアムへ向かうところから始まります。こちらウエスト・ヨークシャーにある本物のリーズUスタジアム「Elland Road」が使われていますね。
- クラフは、人生で2つ悔やんでいることがあると後に語っています。一つはケガで引退したこと、そしてもう一つはリーズUの監督に就任したことなんだそうです。
- 一人の男が人生で最も悔やんでいることの中にこそドラマがあるってわけだな。
- はい、そのドラマを映画にしたのは、先週捜査した「英国王のスピーチ」を手掛けたトム・フーパー監督だったのでした。
- クラフは選手引退後、30歳で監督としてのキャリアをスタート。アシスタント・コーチは盟友ピーター・テイラーです。そして67年、テイラーを連れダービー・カウンティの監督に就任。2部リーグで低迷していたチームを1部に昇格させ、優勝に導くほどの手腕を発揮します。ちなみにダービーCのホームには、英国で最も古いクラブの一つ、ダービーシャー州が誇るチェスターフィールドFCのスタジアムが使われました。最近取り壊されてしまいましたが、昔ながらの泥まみれで荒っぽい、いかにも「闘いの場」という感じのスタジアムが本作で見られるのは、サッカー・ファンにはうれしいですね。
- 何はともあれ、クラフがダービーCで偉業を成すのも、実はリーズUへの屈辱を晴らそうとする執念の賜物だったんだよな。
- 当時、リーズUは1部リーグの上位に君臨する強豪でした。対してダービーCは2部、しかも下位。そんな中、FAカップでリーズUと対戦するチャンスが巡ってきます。憧れの名門クラブとの対決に興奮するクラフ。古びたスタジアムをできる限り磨き上げ、敵の名監督ドン・レビーと、試合後にワイン・グラスを傾ける準備まで万全です。
- ところがどっこい、 レビーはクラフのことなどろくすっぽ見ず、我が物顔で乗り込んできた。しかも試合はリーズUの反則スレスレのラフ・プレーにやられっぱなし。結果は惨敗、フェア・プレーを信条とするクラフには、これも我慢ならなかったんだろうな。それで完全にムキになっちゃった。
- 「くそーコケにしやがって!今に見てろよ!!」ってな勢いで、相棒テイラーとともにチームを立て直していくんですね。
- 気性が激しく言いたいことをズケズケ言うカリスマ的なクラフと、穏やかで冷静なテイラー。この対照的な2人がタッグを組むと、まさに鬼に金棒だったんだな。
- しかしクラフのその性格が災いし、2人はチームを去る羽目になります。その後レビーがイングランドの監督に就任したのを機に、クラフはリーズUからの誘いを受け、この因縁のクラブの監督に就任します。ここからがクラフの正念場となるわけですが……あとは観てのお楽しみですね!
ダービーCも本当に辞めたかったわけじゃなく、単に感情的になり墓穴を掘ったクラフ。そしてそのとばっちりを受けたテイラー。しかしクラフにとってはここでテイラーと別れたことが致命的だった。「離れてみてオマエのことがどれだけ必要だったか気付いたよ」っていうね。ああ素晴らしきかな男の友情。いやこれはもはや愛か。サッカー・ファンでなくとも十二分に楽しめるよ。マイケル・シーンのクラフ、一見の価値あり!
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