Oxford Murders
オックスフォード連続殺人(2008 / 西・英・仏)
天才数学者セルダムに憧れ、米国からオックスフォード大学に留学してきたマーティン。しかし到着後まもなく下宿先の未亡人が何者かに殺されたことから、セルダムとともに事件の謎に迫ることになり……。
© soham_pablo
監督 | Álex de la Iglesia |
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出演 | Elijah Wood, John Hurtほか |
ロケ地 | Blackwell(書店) |
アクセス | London・Paddington駅から列車で約1時間 |
- 今週は、アルゼンチンの作家ギジェルモ・マルティネスの小説が原作の、オックスフォード大学を舞台にしたミステリーなんですが……。
- なんだ、歯切れが悪いじゃないか。
- いえ、何と言いますか正直これ、本格ミステリーなのか駄作なのか、今ひとつ分からなくてですね。主人公の米国人留学生マーティンは、下宿先の未亡人、イーグルトン夫人が殺されているのを、同大学教授で天才数学者のセルダムとともに発見してしまう。犯人らしき人物から事前に伝言を受け取っていたセルダムは、マーティンの協力を得て、ある仮説を立てるのですが……。
- 殺しのメッセージに書かれた数学的記号の謎を解くに当たって、難解な理論が会話の中で展開され、なかなか知的好奇心をそそるんですが、まあ、実際のところチンプンカンプンだったりもします。
- それに登場人物が皆、芝居がかりすぎというか、クセが強すぎやしませんか。殺された未亡人の娘ベスは、最初からひどく挑戦的で、マーティンを大胆に誘惑したり、図書室で大声でわめいたりと情緒不安定。研究室の同僚も妄想の鬼みたいな男だし。
- そりゃーミステリの定番だろう。横溝正史の作品なんか見てみろ。変人しか出て来ないぞ。ところでミステリとミステリーってどう違うんだ? ミステリの方がクラシックな感じがするけどな。日本で言うと江戸川乱歩的な雰囲気っていうか。
- ミステリはいわゆる古典的な探偵・推理小説のことで、ミステリーはホラーとか冒険小説も含む娯楽作品全般だってYahoo知恵袋に書いてありましたよ。それはさておき駄作疑惑に話を戻しますと、無駄なラブ・シーンが多くありませんか。
- うん、それは認める。マーティンと看護婦ローナのラブ・シーンね。正確に言うと無駄に濃いんだよな。まさかの「裸にエプロン」や、スパゲッティ女体盛りまで盛り込んじゃって、完全に監督の趣味としか思えん。ま、そういう俗っぽさがないと頭の固い男衆がああでもない、こうでもないと理屈をこねるだけの話になりかねないが。
- しかしマーティンは、米国から期待に胸を膨らませて留学してきた矢先に、変人たちに囲まれてよく平気ですよね。
- そのマーティンの寛容というか呑気な性格が、物語の鍵だったりするんだけどね。ちなみにマーティン役にはイライジャ・ウッドが扮しているが、当初、メキシコの男前俳優ガエル・ガルシア・ベルナルが候補に挙がっていたらしいよ。
- さて最後になりましたがロケ地情報です。舞台がオックスフォードということで、実際に現地で撮影が行われました。
- 大学敷地内の施設やその周辺の象徴的な建物が数多く見られますね。何度か登場する書店はBroad Street 48-51番地の「Blackwell」です。隣接するパブ「WhiteHorse」もお目見えしていますね。ちなみにイーグルトン夫人が殺されたとき、警察に電話したマーティンが住所を聞かれて「Cunliffe Close 3番地」と答えますよね。Cunliffe Closeという通りは実在しますが、そこにこの建物はありません。
- そして驚きの真実が明かされるラスト・シーンは、オックスフォードじゃなくてロンドンの「ヴィクトリア & アルバート美術館」の「Cast Courts」で撮られているね。セルダム教授も触れているけど「トラヤヌスの記念柱」を始め、欧州建築の巨大なレプリカが置かれているセクションだな。
大体においてタイトルからしてストレートだよね。邦題もそのまんま直訳だし。まあクラシカルでいいけどね。結末はどんでん返しに次ぐどんでん返しだけど、これもいかにもミステリの王道という感じで、私は嫌いじゃないぞ。日本でDVDスルーされたのも分からなくない微妙な作品ではあるが、イライジャ・ウッドのファンなら 文句なしに楽しめるとは思う(笑)。
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