Nicholas Nickleby
ディケンズのニコラス・ニックルビー(2002 / 英・米)
若くして父を亡くし、生活に困ったニコラス・ニックルビーは、母と妹を連れてロンドンで豊かな暮らしを営む叔父ラルフを訪ねるが、ラルフは冷血漢の高利貸しで……。
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監督 | Douglas McGrath |
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出演 | Charlie Hunnam, Jamie Bell, Anne Hathawayほか |
ロケ地 | Gibson Mill |
アクセス | Hebden Bridgeから約3.2キロ |
- いよいよクリスマス目前ですね。英国でクリスマスにちなんだ物語と言えば、やっぱりチャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」です。ということで……。
- 今週は「クリスマス・キャロル」を捜査……と言いたいところだが、大人の事情により、同じくディケンズ原作の「ニコラス・ニックルビー」じゃい。
- 子供のころ、サンタさんにお願いしていたのとは微妙に違うプレゼントが枕元に置かれていたときの、何とも言い難い気持ちを今ふと思い出しましたが……。何はともあれ「ニコラス・ニックルビー」。舞台は19世紀の英国です。
- 大ざっぱに言えばディケンズらしい、勧善懲悪で分かりやすいストーリーですよね。教育テレビで放映されそうなドラマとでも言いますか。
- たまにはこういうのもいいよな。年の瀬に観るのがまたいいんだよ。一年の行いを振り返って反省したり、悪行を悔い改めたりする機会にもなるし。
- ええとデカ長、それはどちらかと言うと「クリスマス・キャロル」では……。本作は、正義感が強く、どんなときでも自身の尊厳を失わずに苦境を乗り越えようとする、熱血青年ニコラス君の物語です。
- 父を亡くして生活に困ったニコラス君は、母と妹のケイトとともに叔父を頼ってロンドンへ出ていきます。この叔父が高利貸しを営んでいる非情な人で、彼の友人が経営するヨークシャーの寄宿学校での働き口をニコラス君に紹介するんですが、この寄宿学校というのがなんと、私生児を高額で引き取って、虐待しているという悪の巣窟のような学校なのです。
- この寄宿学校は、ディケンズが本作を執筆した当時、実在していたそうですね。
- そうそう、元ジャーナリストのディケンズは実際に学校を視察してるんだよな。本作に登場する片目のスクィアズ校長のモデルは、当時の校長だった人物なんだとか。
- この寄宿舎のシーンは、ウエスト・ヨークシャーにあるナショナル・トラスト所有のHardcastle Cragsという谷間に立つ、19世紀の紡績工場「Gibson Mill」で撮られています。このひどい学校で行われている仕打ちに最初は戸惑うばかりのニコラス君でしたが、スマイクという、障害を持った少年まで不当に鞭打たれているのを見て我慢できなくなり、ついにブチ切れて校長を攻撃、スマイクを連れて寄宿舎を飛び出します。
- そしてロンドンへ向かう途中、旅芸人の一座に加わるあたりがまたいかにも。
- いい人たちだから良かったけどな。
- 彼らが舞台を踏む劇場のシーンは、ロケによく使われるロンドンの「Wilton's MusicHall」ですね。一方、ニコラスの母とケイトが叔父に連れられて観劇に出向く場面には、サウスバンクの「Old Vic Theatre」が使われています。
- ところでキャストが意外と豪華ですよね。主役のニコラスにチャーリー・ハナム、ヒロインのマデリンにアン・ハサウェイ、そして「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルも、物語の要とも言える少年スマイク役で出ています。
- アン・ハサウェイのマデリンは、役としてはいま一つパッとしないよね。ロモーラ・ガライちゃん扮するケイトの方が、よっぽど存在感あったな。
- 彼女は本作で映画デビューを果たしたそうです。初出演とは思えないですね。
曲がったことは大嫌い、正義の味方ニコラス君の一本気キャラが懐かしさとともに新鮮に感じられるのは、私が都会の人間関係に疲れているからなのか……。しかし悪者の叔父さんに対する懲悪があまりに容赦なくて、ちと可哀想だったな。第一、なぜ彼があんな屈折した性格になったのかもよく分からんのに。と、ストーリーに少々強引な点はあるが、ジェイミー・ベルのファンは必見だ。それでは皆さん、メリー・クリスマス!
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