海底に置かれた「波を作る砂袋」のイメージ図
もともと、ドーセットといえば英国随一の海辺の町として知られており、夏場になると海水浴客で毎年賑わう。ところが中心部をちょっと離れてしまうとその賑わいはどこへやら、特に東部では寂寥とした風景が広がっているという具合。そこで閑散とした地域にも何とかして観光客を呼び寄せることで、町全体の活性化を図ろうと同地の観光局が頭をひねらせ考えついたのが、人口的に大きな波を発生させる仕組みだった。
聞けば、その構想はなかなかダイナミックである。まずは海底にサッカー競技場ほどの面積の巨大なスペースを確保。この上に最長70メートルに及ぶいくつもの巨大な袋を敷いて、この袋の中に機械を使って大量の砂を注入する。するとそれぞれの袋は太さが異なっているので、自ずと段差のようなものができあがる。そのさらに上に今度は交差するように砂袋を置いて水の通り道を整備したら、「大きな波の打ち寄せる海」の完成。この盛り上がった部分に自然発生した波が当たると海水の勢いは増幅され、岸側に着く頃には波は最大4メートルの高さになる計算だ。サーファーにとって、まさに絶好のスポットとなることは間違いない。
この仕組みは、ニュージーランド出身のケリー・ブラックさんが、世界中のいわゆる「サーファーの聖地」と呼ばれる場所の地形の研究を重ねた末に開発したという。建設費用は締めて300万ポンド(約6億円)也。ドーセット観光局ではこの大波によって年間延べ1万人のサーファーを呼び込むことを期待しており、もしこの試みが成功すれば、その他の海岸沿いの地域でも同様の仕組みを建設することを検討しているという。
完成予定は今年の10月。波作りで町興しとはなかなか粋な試みだが、さてドーセットはサーファーの新しい聖地となるのか。ついでに「雨の降らない空」を発明してくれたら、雨続きの英国にも、もっと海水浴客が押し寄せるようになるだろうに。
BBC Online News"Work starts on town's surf reef"
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