麻衣子 ドーソンさん
Maiko Dawson
Leather Accessory Designer
- 肩書き
- 革製品デザイナー
- 経歴
- 経歴: 東京都出身。日本女子大学を卒業後、1994年に来英。ロンドンのコードワイナーズ・カレッジ(現在はロイヤル・カレッジ・オブ・ファッションに統合)に入学。在学中からハンドメイドの靴店にデザイナーとして勤務。2000年にクラフト・カウンシルからビジネス設立のための助成金を得て独立。現在はロンドン南部のスタジオで小物から靴まで幅広い革製品を制作している。各地のデザイン・ショーやポップアップ・ショップなどに参加し、その作風は根強いファンを持つ。 www.maikodawson.com
インスピレーションの素は革の色や手触り
靴作りを始められたのは何がきっかけですか。
元々、小さいころから手先が器用で、服や小物を作るのが好きでした。大学を出てから靴の製造会社にも就職したのですが、ものを作ることの楽しさをあきらめることができず、お金を貯めて英国の靴作りの学校に入学しました。なぜ靴を選んだかは、靴はどうやって、どこから作り始めるのだろうという素朴な疑問が始まりだったような気がします。
多くのデザイナーを輩出した、コードワイナーズ・カレッジで学ばれたとか。
90年代前半のロンドンでは、靴作りの専門校といえば、この学校だけでした。最初は男物の靴を作りたかったのですが、いわゆる伝統的な英国の紳士靴ではなく、別のスタイルを目指していました。しかし当時の男性は皆、黒くて重い靴ばかりはいていましたね(笑)。自分の作りたいのはもっとカラフルな靴だったので、では、女性の靴も作ってみようか、そんな感じでした。そして、靴作りのときに出た端切れで、財布やバッグなども作り始めたのです。
デザインする際に目指しているのは?
靴でもバッグでも、日常的に使っていただきたいので、まず使いやすさ。そして英国は天気が悪く暗いことが多いので、明るい色を使いたいですね。そしてなるべくシンプルに。付け足していくことは簡単ですが、引き算された、プレーンなデザインをしたいです。私は、毎回テーマを決めて、今回はこういうシリーズを作ろうというタイプではありません。制限があると何もできなくなってしまうんです(笑)。
靴はアート作品などと比べて、形や材料に最初から制限があるものですものね。
はい、できることとできないことがはっきりしています。その時点で既に随分、制限されているので、その上またテーマを作るということはしないです。「使うもの」ですので、そんなに突拍子もないものは作れませんしね。ただこの「制限」というのはマイナスではなく、その中でどれだけ表現できるかという面白さがありますね。
アイデアやインスピレーションの源泉は?
革から得るものが一番大きいのではないかと思います。革を染めるには大きな設備がいるため自分では行っておらず、私のような規模では好きな素材をオーダーして作ってもらうこともできません。そのため、出来上がっている革を革屋の膨大な在庫の中から選びます。そのときに見つけ出した革の色、厚さ、素材感、手触りなどからイメージを膨らませるのが、数ある作業の中で一番ときめく瞬間です。多分、シェフの方などが素晴らしい食材を目の前に、どう調理するかという感覚に似ているのではないでしょうか。
これからどのような物を作りたいとお考えですか。
「より使いやすいもの、ずっと使いたくなるものを作り続けたい」に限る気がします。流行というのは、いつかは終わるものですよね。ですから、作品に終わりのないような機能性とデザインを持たせ続けたいと思っています。長年履かれた、または、使われた私の作品を申し訳なさそうに修理に持って来られる方がいらっしゃるのですが、そういうものを見ると、この仕事をしていて良かったと思います。
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