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Sat, 23 November 2024

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第5回 粗く写ったテムズ河の橋
~ISO感度とは? (1)

ISO感度とは、フィルムが光に反応する度合いを数字で表したものです。ISOの数値が高くなればなるほど、暗い場所での撮影が可能になってきます。目安として、晴れた日には100、曇りや夕方のあまり明るくないときには400、室内や夜の撮影などには800や1600、という風に使い分けます。「それでは感度が高い方が便利ではないか」と思われる方もいらっしゃると思いますが、感度を高くさえすれば、メリットばかりをもたらすというわけではありません。

それでは「何を基準にして感度を決めていくか」についてお話するために、感度が「低い」「高い」それぞれの利点について説明します。それは、感度が低いほど高画質の画像が得られ、感度が高くなるほどシャッター・スピードを速く設定できるということです。

シャッター・スピードが速くなると、まず手ブレを防ぐことができます。逆にシャッター・スピードが遅いと手ブレの原因になりやすく、せっかくきれいな風景を撮影したのに、写真を引き伸ばしてみると「写真がぶれていた」ということが起こりがちです。

暗い状況下でも高画質な写真を撮影したいときは、原則として、低感度のフィルムを使い、さらにはカメラが動かないように三脚を使った方がいいでしょう。三脚を持っていないときは、画質を少々落としても感度を上げて撮影した方が手ブレ防止に有効です。しかし必要以上に感度を上げると、今度は画像劣化(「ノイズ」と言います)が起こってきます。

写真1と写真2は全く同じ状況下で、感度を変えて撮影しました。写真1では感度100(低感度)、写真2では感度1600(高感度)で撮影しています。感度100ではシャッター・スピードは1/2秒、感度1600においてはシャッター・スピードが1/50秒まで上がりました。小さなサイズで写真を比べると変化はあまり感じないでしょうが、両方を拡大して見てみましょう。3では線が滑らかなのに対し、4では画像が荒くなってきます。4のように感度が必要以上に高いと、画像の品質を落とす原因になります。「写真を大きく引き伸ばして部屋に飾りたい」などというときは、できるだけ感度は低めで、三脚を使って撮影される方が良いでしょう。


(写真1) エンバンクメント駅からテムズ河を渡る橋の上から撮影。レンズは中望遠85ミリを使用、感度を100に設定


(写真2) 感度を1600に設定。上の写真と共に、日没後に撮影


(写真3) 感度100の部分拡大。線がなめらかで、拡大してもディテールが失われない
(写真4) 感度1600の部分拡大。画像が荒く、画素の点が目立ってくる


 

前川 紀子: 滋賀県出身、1998年よりフリーランスに。以後フード専門カメラマンとして食の専門誌やレシピ本を中心に仕事をする。2007年に渡英、08年よりロンドン在住。
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