ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Sun, 24 November 2024

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして20年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


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商品の返品はお気軽に!?

商品の返品はお気軽に!?

それは、当時通っていた語学学校時代の友人と、オックスフォード・サーカスまでショッピングに出掛けたときの出来事。日本から持ってきた貯金を切り崩しての生活をしていたので、無駄遣いはしないようにしていたのですが、突然の陽気と暑さに、サマードレスを買おうと、H&Mというお店に行きました。さんざん試着してやっと15ポンドくらいの白いドレスに決めてレジに並んでいると、突然、前にいた女性がレジの前で、着ていたシャツを脱いでカウンターに置きました。そして、何やら店員さんと話すと、レシートを受け取って「サンキュー!」と言って去っていきました。英語が聞き取れなかったので、何が起こったのかを一緒にいた友人に聞くと、「あの人は商品を返品しにきたみたい」と言います。返品といっても、さっきまで着ていた服。それを返品するなんてことが許されるの?と思ったのですが、ロンドン暮らしが私より長い友人は「ここの人たちは日本と違って、商品を返品することに全然ちゅうちょしないから。私も気軽に返品するよ」と教えてくれました。

日本でだったら、商品の返品をするのなら、売られていたときのようなきれいな状態で、袋もきれいなままというのが当然ですよね。でも、英国で返品をする人たちは、そんなことはほとんど気にしていません(一応、「返品の際には購入時の状態で」といった注意書きはありますが)。また、返品を受け付ける期間について、販売企業や商品にもよりますが、1カ月近くの猶予がある場合も少なくなくありません。そのためか、件の女性のように、商品を使って用が済んだら返品する、という強者もいるのです。

そして、「そこまでやってくれるの?」と感心したのは、クリスマス・プレゼントの返品&交換システム。たとえば英国在住者にはおなじみのスーパーマーケットM&Sでは、10月上旬からクリスマス・イブまでに購入した商品の場合、返品の期間を翌年の1月末までに延ばす(通常は購入から35日以内)というサービスを行っていました。


つまり、そのくらいこの国では、人々は商品を気軽に返品しているのです。あるママ友は、子どもの靴をオンラインで注文するときには、サイズ違いを2足買って、合わない方を返品するのだと言っていました。返品の送料が無料の場合が多いことも、多めに注文して、いらない方を返品することを可能にしているのかもしれません。

いずれにしても、英国の人たちは「返品すること」への罪悪感などは全くなさそう。返品のシステムや返品することに対するメンタリティーなど、日本とは随分違いますね。

 
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マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。音声メディアVoicyパーソナリティー。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
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