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ハーフ・タームって何?
「ハーフ・タームって何?」と近所に住む友人のアリソンに質問したのは、わが家の双子がまだ乳飲児のころでした。いつものように一緒に紅茶を飲みながらおしゃべりしていたとき、アリソンが「明日からハーフ・タームだから、家族でフランスにホリデーに出掛けるの」と言ったからです。まだ子どもが学齢に達していなかった当時の私は、英国の教育システムについて全くの無知でした。そのため、アリソンに聞くまでハーフ・タームというものを知らなかったのです。
英国の学校は9月が新学年の始まりですが、1年が三つの学期に分かれているのは日本と似ています。違うのは、それぞれの学期の間に1週間ほどの中休み期間があること。これをハーフ・タームと呼ぶのです。実はこの原稿を書いている2月後半は、ちょうど2学期のハーフ・タームにあたり、子どもたちの通っている公立中学校はお休みです。
「また子どもらの学校休みなん? 英国の学校は休みばっかりやな~」。これは先日LINEのビデオ電話で話したときの、日本にいる母の言葉。母がそう言いたくなる気持ちも分かります。日本の教育システムしか知らない身には、春、夏、冬の長期休暇以外に加えてさらなる休みがあるのは、ちょっと休み過ぎに思えてしまうのは当然です。私も子ども達が小学生のころは同じように思いながら、ハーフ・タームのたびに、1週間の休みをどうやりくりするかを必死に考えていました。
アリソンがしたように家族でホリデーに出掛けたり、ホリデー・キャンプと呼ばれる1日あるいは半日のアクティビティー・コースに通わせたり、祖父母に世話を手伝ってもらったり、毎日公園や博物館へ出掛けたり、プレイデート(友達とお互いの家を訪ね合って遊ぶこと)をしたり……。これらの選択肢を組み合わせながら、わが家だけでなく、どこの家庭でも、皆それぞれにハーフ・タームの過ごし方を工夫しているのです。
親たちが苦労している一方で、「英国の学校の先生は休みが多くていいね」という声が聞こえてきそうですが、実際のところはそうでもないようです。私の義父母はかつて小学校の先生をしていましたが、ハーフ・タームは授業の準備などでほとんど通常と変わらず家で仕事をしていたそうですし、中学校の先生だった義妹のお母さんも、やはりたまったデスクワークのため、学校に出勤していることが多かったといいます。
さて、現在ハーフ・ターム中のわが家の子どもたちは、中学生になってからは各自が自由に時間を使っています。成長ぶりはうれしいものの、そうなるとちょっと寂しい気がしてしまうのは、親の身勝手というものでしょうか。