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紙1枚で結婚ができない英国
イースター・ホリデーはいかがお過ごしでしたか? イースター(復活祭)の前の金曜日はグッド・フライデー。キリストが十字架にかけられた日ですが、私たち家族にとっては義父母の結婚記念日をお祝いする日です。私はこれまで何度も義母に結婚式の思い出話をせがんでは聞かせてもらいました。義父母のものだけでなく、日本とはかなり違う英国の結婚式については、自分たちのときも含め、何度「へ~」と思ったことでしょう。
何より意外だったのは、ここでは日本のように「役所に書類を出せば結婚(入籍)完了!」というわけにはいかないこと。
英国在住のみなさんは、さまざまな場面でこの国のゆるさやいい加減さ(!)を体験していると思うのですが、こと結婚に関しては、日本に比べるとかなり厳格なルールがあります。
というのも、法的に結婚を成立させるには、教会などの宗教的な式以外では、レジスター・オフィス(登記所)で行うか、挙式をしても良いと認められている場所のみで行わなければならないのです。それは、挙式にはレジストラー(結婚登録ができるライセンスを持つ登記人)が必ず立ち会わなければいけないということが関係しています。この国では、挙式の場で新郎新婦と証人がレジストラーの見ている前で結婚証明書(MarriageCertificate)にサインをすることで、初めて婚姻が認められるという決まりがあるのです。
私の経験はずいぶん前のことですが、記憶をたどると、結婚前に驚いた(面倒くさかった)のは、事前にレジスター・オフィスに行き、結婚したい意思を告知しなければならなかったことです。英国政府のウェブサイトにも明記されていますが、結婚したいカップルは、式を挙げる29日前までに身分証明書や光熱費の請求書などを提示して届け出をします。その際、二人別々に呼ばれて、二人の関係や相手についての質問に答える面接があります。それが完了すると、二人の結婚についての告知が、レジスター・オフィスの掲示板に張り出されます。万が一、結婚に異議のある人がいれば、この期間中に「ちょっと待った~ !」と申し立てをするという仕組みなのです。
挙式前に、レジストラーとの打ち合わせ(挙式の内容と進行、誓いの言葉などの確認をしました)で再度レジスター・オフィスを訪ねたとき、実際に壁に張り出された私たちの結婚の告知を見ました。このルールは13世紀に始まった教会での結婚予告(Banns of marriage)が起源とのことですが、現代において、実際に意義を唱える人がいるのかどうかは謎です。
英国での結婚について、日本とのギャップはほかにもたくさんあるので、次回またお話ししたいと思います。