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ホワイト・デーは存在しない!?
日本で3月14日はホワイト・デーでしたよね。最近ではバレンタイン・デーに義理チョコを渡す人が減ってきているといいますが、それでも日本ではチョコレートをプレゼントするのが今でもポピュラーと聞きます。そして日本のオンライン・ショップで「ホワイト・デー特集」が組まれているところを見ると、バレンタイン・デーへのお返しの習慣も続いているようですね。
実は、英国にはホワイト・デーの習慣はありません。もともと、 バレンタイン・デーの習慣自体が日本とは随分違うような気がします。歴史をたどると、バレンタイン・デーにチョコレートを贈るのは、英国のチョコレート会社であるキャドバリー社が1868年にハート型をした箱入りのチョコレート・ギフトを発売したことに由来するとはいいますが、「義理チョコ」や「女性から男性にチョコレートを贈る」という決まりは、現代の英国にはありません。もちろん、英国でもバレンタイン・デーは愛を伝える日であることに変わりはありません。ただし、男女どちらから告白してもいいですし、カップルの場合には、お互いにプレゼントを贈り合って、それぞれの愛情を示すのが決まりです。これは、長年連れ添った夫婦の間でも必須。むしろ、カードやプレゼントを贈らないと愛情が冷めたのではないかと疑われ、トラブルになりかねません。
以前のコラム「カードを贈り合う習慣」でご紹介したように、英国では1年を通してカードを贈り合うのが伝統。バレンタイン・デーでも、もちろんカードは欠かせません。英国で最初に贈られたバレンタインのカードは15世紀のものといいますから、この伝統は6世紀も続いていることになります。
また、プレゼントの定番といえば、なんといってもA Dozen Roses(1ダースのバラの花束)です(チョコレートも人気はありますが)。バレンタイン・デー数日前になると、スーパーの入り口付近には数え切れないほどのバケツに入った真っ赤なバラの花束が、床を埋め尽くしています。バレンタイン・デーには男女どちらもがプレゼントを贈り合うとはいえ、バラの花束を買っているのは圧倒的に男性です。そして、老いも若きも、みんな当たり前のようにバラの花束を手にしています。もともとこの国では、普段から男性が女性に花束を贈るということは珍しくありませんが、バレンタイン・デーには700万本もの赤いバラが贈られているといいます。この時期は普段の2倍近くに値段が跳ね上がることもありますが、1年に1度の愛を伝える日なら、そのくらいは奮発するのが英国流ということでしょうか。もちろんわが夫も毎年A Dozen Rosesとチョコレートをプレゼントしてくれます。