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お酒のつぎ方、日英比べ
先週末、かつて日本人のガールフレンドがいて、しばらく日本に住んだことがあるKと、その奥さまと一緒に、日本食レストランで食事をしました。前回会ったのがロックダウン前だったので、3年ぶりの再会です。夫も含め、皆日本食が大好きなので、お刺身、お寿司、鶏の唐揚げ、焼き鳥、枝豆など、メニューにあるものを片っ端から頼んでは楽しみました。なかでも男性陣が喜んだのは、日本酒のメニューが豊富だったこと。注文の分量選びに迷っていましたが、せっかく二人で飲み交わすのなら、と言って、ボトルごとオーダーしました。
最初の1杯はウエーターの方がついでくれますが、その後、お互いのおちょこが空になったとき、Kと夫が日本での経験を語り出しました。というのも、二人にとって不思議だったのが、日本人同士だと、会社の上司や先輩に対して、部下または年下の人が必ずお酌をしなければいけないことだったとか。また、その場に女性がいるときには、ほとんどの場合、女性がお酌をしているというのも、かなりの驚きだったようです。
Kがかつてのガールフレンドの家で、日本人の父親とお酒を飲んでいたときのこと。自分で瓶からビールをつごうとしたところ、その手を止められ、父親はガールフレンドにお酌をするように催促したそうです。そして、それが日本のマナーだと教えてくれたのだとか。
英国では職場での集まりや、家族や友人とお酒を一緒に飲む場面で、立場の低い人や女性がお酒をつがなくてはいけないというルールはありません。また、レストランなどで給仕の人がワインをついでくれる場合、男性がテイスティングをすることはあっても、その順番は女性から、というのも少なくありません。
普段はどうかといえば、飲みたい人が自分で手酌をするのが基本。とはいえ、ワインのボトルをシェアしているときなどに、自分の周りの人のグラスが空いていたり、量が減っていれば「もっとどうですか?」とお勧めするのは、英国の人たちも自然に行っています。
また、Kと夫によれば、英国の「ラウンド」システムも外国人には難しいお酒の場でのマナーの一つだと言います。これはパブに行ったときに、一緒にいる仲間全員分の飲み物を1人の人が支払って、それを持ち回りで行うというもの。誰が次の順番か、どのタイミングで注文を聞くかを探るのは、経験を積んで慣れていくしかないようです。
最近では日英両国共に若者のアルコール摂取量が減少していると伝えられていますが、お酒の場でのマナーも、国の違いだけでなく、世代によっても変化していくのかもしれません。