74
英国流バースデー・パーティー
「イアンもケイトも、唐揚げとお寿司がすごくおいしかった、また食べたいって言ってたよ。作ってくれてありがとう!」。
子どもたちが仲良しの友人を招いた誕生日パーティーが終わった後、娘がうれしそうにお礼を言ってくれました。誕生日当日は、例年のごとく義父母や義弟家族を招いてのパーティーでしたが、3日後の今日は友人たちとのお祝いでした。子どもたちの誕生日は私にとってとびきり大事な日ですが、この国に住んでいる人であれば、英国では何歳であろうと誕生日が特別な日だというのに異論はないと思います。そして、大切な誕生日には自分の好きな人たちを自ら招いてお祝いするというのがこの国のやり方です。
私が英国で初めてバースデー・パーティーに招待されたのは、語学学校で知り合った台湾人のジェイの誕生日でした。その日はロンドン市内のレストランがジェイによって予約されていて、そこに学校の友人たちが8人ほど集まりました。英国暮らしが長いジェイには当たり前のようでしたが、私は誕生日の本人自らがパーティーを企画して、店を予約して、ゲストを招くというやり方にちょっと驚きました。というのも、日本では家族や友人、恋人が誕生日パーティーを企画してくれるのが一般的で、自分から招待するというのは、私自身、やったことがなかったからです。
その後、誕生パーティーに誘われるたびに、英国では誕生日が人々にとっていかに重要か、そして主役自らがパーティーを主催するということが当たり前だということを学びました。そういえば、21歳の誕生日を迎えた若き友人のパーティーに招待されたときには、友人がパーティーのために何カ月も貯金をしていたと聞いて、英国人の自分の誕生日パーティーへの情熱に感心したものです(英国では21歳の誕生日は節目の一つとして重要視されています)。
とはいえ、子どものうちはパーティーをオーガナイズするのはもちろん親の役目です。幼稚園や小学校低学年のころはクラス全員を招待することがほとんどなので、人数も多くなります。そのため、プールやアクティビティーのできるスペースをレンタルしたり、パーティー専用のエンターテイナーを雇ったりと、親にとっては毎年、一大事だったのを思い出します。
でも、日本では自分の誕生日でも仕事ばかりしていたせいでしょうか。英国ではこうやって「誕生日は、自分にとっても家族や友人にとっても大切な日だ」ということを幼いうちから感じることができるのはすてきだなー、とちょっぴりうらやましくも感じている私です。