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鍵っ子になれるのは何歳?
先日、アングロ・サクソン時代のイングランドの首都、ウィンチェスターに行きました。理由は夫の詩がウィンチェスター・ポエトリー・フェスティバルの入賞作に選ばれ、その朗読&授賞式に参加するためでした。
英南部ウィンチェスターはわが家から車で2時間ほどの距離。せっかくの機会なので、14歳になる双子たちと一緒に行きたいと思ったのですが、2人とも往復4時間かけて、たった2~3分しかないダディの朗読を聴きにいく気にはなれないと言います。そこで2人には家で留守番をしてもらうことになりました。
これまでも2人で留守番をしてもらったことはあるのですが、娘がしきりに「何時に帰ってくるの?」と不安そうだったので、「午後7時までには必ず帰ってくるから」と伝え、また、近所に住む義弟夫婦にも、子どもたちから電話があったら様子を見に行ってほしい、とお願いして出掛けました。
母がずっとパート・タイムで働いていたため、私は小学校低学年のときからすでに鍵っ子でした。2歳年上の姉より先に家に帰ることも多く、自分で鍵を開けて家に入り、1人でお菓子を食べて、1人で遊んでいたのを覚えています。
英国で育児をするようになって驚いたのは、ここでは幼い「鍵っ子」は存在しないということでした。それどころか、小学校への通学も毎日保護者が送り迎えをするのが当たり前なのです。
英国政府のウェブサイトにある「子どもを1人にする際の法律」という規定には、「法律には、子どもを1人で留守番させることができる年齢は定められていませんが、子どもを1人で留守番させることが危険である場合は犯罪となります。子どもを1人にする前に、子どもがどの程度成長しているかを判断してください」と記載されています。
英国内にある子どものためのチャリティー団体 NationalSociety for the Prevention of Cruelty to Children(NSPCC)のアドバイスでは、12歳以下は長時間1人で留守番をさせない、16歳以下の子どもを一晩中1人きりにしないこと、とされています。また、わが子たちの小学校では、6年生からは子どもだけで登下校をしてもいいとされていましたが、大多数の親が卒業まで送り迎えをしていました。わが家もそうしていました。
日本では自分はずっと鍵っ子だったのに、英国の慣習に慣れてしまうと、子どもたちだけで外出させるのも、留守番させるのも慎重になってしまうのだから不思議です。というわけでわが子たちの初めての鍵っ子体験は12歳を過ぎてからでした。それも昼間の4時間くらい。初めてのお使い(子どもだけでショッピング)も確かそれくらいだったような気がします。