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ファースト・ダンスが夫婦の絆を作る?
先日は私たち夫婦の結婚記念日でした。以前もこのコラムで書きましたが、私たちは英国と日本の両方で結婚式を挙げたので、12月と1月の2回、結婚記念日を祝います。毎年、2回の結婚記念日には、お互いにカードやプレゼントを贈り合って、感謝の気持ちを伝え合うのと同時に必ずすることがあります。それは、結婚式に参加してくださった皆さんのメッセージ・ノートを見ることと、結婚式のアルバムを見ることです。私たちは結婚18年を迎えたのですが、写真を見ていると18年前のことが、つい昨日のことのように思い出されるから不思議です。
中でも特になつかしく、「見て見て、これ。覚えてる?」と夫に見せたのが、朱色の着物を着た私と夫がダンスを踊っている写真です。これは当時住んでいたロンドン南東部グリニッジで挙げた英国式ウエディング・パーティーでのもの。結婚式には白いウエディング・ドレスを着ていた私ですが、レセプションと呼ばれるパーティーのときには母が日本から持ってきてくれた振袖を着ることにしました。
着替えて会場に入ってきた私を待ち受けたように、司会の人が夫と私を紹介し、私たちは会場の真ん中に並びました。すると、DJの方がデービッド・ボウイの「Be My Wife」の曲をかけ、夫と私はパーティーの参加者の前で「夫婦として」初めて一緒にダンスをしました。
このように結婚式で新婚夫婦が初めて踊るダンスのことを「ファースト・ダンス」といいます。これは、英国の結婚式では必ずといっていいほど行われるお決まりの儀式のようなもの。
歴史的には欧州の王族の舞踏会で、その場の最高位にある人(王族など)が最初にダンスを披露してから舞踏会を始めたのがファースト・ダンスだといわれますが、現在のように結婚式でカップルがファースト・ダンスを踊るのは米国から来た慣習ともいわれているようです。
英国では、本番に向けてカップルで教室に通う人もいるほど、結婚パーティーで重要なパートを占めるファースト・ダンス。どんな曲を選ぶかはもちろん、それぞれのカップルで決めますが、私は英国流の結婚式のことを何も分かっていなかったこともあり、曲選びは夫に任せたので、件の曲となりました。ちなみにハリー王子とメーガンさんの結婚式では、「Land of 1000 Dances」がファースト・ダンスの曲でした。英国最大のミュージシャン予約プラットフォームのアンコールによれば、2023年に英国のファースト・ダンスで最も人気だった曲はエド・シーランの「Perfect」だったそうです。なお、ファースト・ダンスの後は、参加者全員で踊りまくるのが英国スタイルです。