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実はコーヒー大好き! ?
わが家では、毎朝起きてすぐに飲むのはミルク・ティー。夫も私も、マグカップにPG Tipsのティーバッグで入れた紅茶に牛乳をたっぷり注ぐのが定番です。そして、朝食を済ませた後に飲むのはコーヒー。最近ではネスプレッソなどのコーヒー・マシーンを使っている家庭も多いと思いますが、わが家では、国内でカフェティエアー(Cafetiere)と呼ばれるガラス製のコーヒー・メーカーを使っています。フレンチプレスとも呼ばれるこのコーヒー・メーカーは、私たちが結婚したときにウエディング・プレゼントとして夫の叔母からいただいたもの。思い出の品ということもあって、いまだに使い続けています。
実は20年以上前、ロンドンの下宿先で初めてこのカフェティエアーでコーヒーを入れてもらったときは「あれ?」と不思議な気がしました。というのも、ガラスにコーヒーの粉とお湯を入れ、上からプレスするというこの器具は、日本にいたころには紅茶を入れる道具として使われていたからです。当時はホテルやおしゃれな紅茶専門店などでは、これで紅茶を出してくれるお店が少なくありませんでした。でも英国では、下宿先はもとより友人の家でも、当時ボーイフレンドだった夫のフラットでも、これはコーヒーを入れるものとして使われていたのです。夫に「日本ではこれは紅茶を入れるポットだよ」と言うと「この国でこれで紅茶を入れる人なんて絶対いない!」と、笑われてしまいました。改めて調べてみると、昭和40年代に日本に輸入されたときに、紅茶メーカーがこれで紅茶を入れることを広めたという話があるそうです。
ともあれ、当時の英国ではコーヒーにはこのカフェティエアーが圧倒的に多く使われていたという印象でした。ただその後、英国でのコーヒー・ブームもあってか、ロンドンのコーヒー・フェスティバルやおしゃれな独立系カフェでは、日本企業ハリタのV60ドリッパーをよく見掛けるようになり、また一般家庭では件のコーヒー・マシーンが台頭してきて、英国人たちのコーヒーの入れ方も変化してきました。
ドイツを拠点とし、さまざまなデータをオンライン上でアクセスできるようにしているプラットフォーム、スタティスタ。同機関が2023年に2万4000人の英国人を対象にした調査によれば、 63パーセントの人がコーヒーを定期的に飲むと答えたのに対して、紅茶を定期的に飲むと答えたのは59パーセントだとか。それを受け、今や人々はコーヒー党に変わってしまったとニュースになりました。歴史をさかのぼれば、17世紀にはコーヒーハウス文化が栄えていた英国。人々がコーヒー好きなのは当時から引き継がれた習慣なのかもしれません。