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英国の牛乳の色は青・緑・赤
昨夏、日本から姉夫婦が1週間ほど我が家に遊びに来てくれました。料理と食べることが大好きで、食関係の仕事をしている姉が一番行きたがったのはスーパーでした。
我が家から車で5分のところにある大型スーパーに出掛けて、それぞれ分かれて買い物をしていたのですが、ミルク売り場でいつも通り4パイント入りの牛乳を買っていたとき、後ろから姉が声をかけてきました。「この色の違いはどういう意味?」。姉が疑問に思うのも無理はありません。英国の牛乳のパッケージは、赤、緑、青と3種類に色分けされているからです。
英国にお住まいの皆さんはもちろんご存知でしょうが、こちらの牛乳はホール・ミルク(Whole milk)、セミ・スキムド・ミルク(Semi-skimmed milk)、スキムド・ミルク(Skimmed milk)という三つのカテゴリーに分かれています。ホール・ミルクは脂肪分3.5パーセント前後でいわゆる「全乳」。セミ・スキムド・ミルクは脂肪分1.5~1.8パーセント。スキムド・ミルクは脂肪分0.5パーセント未満という区別がなされていて、飲み比べれば、脂肪分の違いが味に影響するのは明らかです。
私が英国で最初に暮らしたホームステイ先、夫や友人のフラット、義父母の家など、渡英してから訪ねた家庭の冷蔵庫には、どこも全てセミ・スキムド・ミルクが入っていました。なので私にとっては「緑」の牛乳を使うのが長い間当たり前でした。それが「青」のホール・ミルクに変わったのは、子どもたちが牛乳を飲むようになってからです。子どもの成長のためには脂肪分の多いホール・ミルクがいいと聞き、以来、現在までずっと我が家では「青」のミルクを使っています。ただ、義父母が滞在しに来てくれるときには、2人が飲む紅茶のために、セミ・スキムド・ミルクを用意します。英国では通常1パイント、2パイント、4パイント、6パイントと、サイズに選択の幅があるので、2人の紅茶のために1パイントの小さなパッケージを選べるのがありがたい。
20世紀初頭まで牛乳はガラス瓶で配達されるのが主流で、脂肪分の調整もされていませんでした。青、緑、赤の色分けがされた蓋つきで販売が始まったのは、1990年代後半といいます。かつてはキャップの色がこの3色でしたが、色付きのプラスチックはリサイクルが難しいということで、現在ではキャップは無色でラベルにこの3色が使われるようになっています。3色(種類)の牛乳がそれぞれ4サイズずつ陳列されたスーパーの牛乳コーナーは広くて圧巻。日本から来た姉はそのスペースだけでなく、日本の牛乳パッケージとは違い、プラスチックの容器にミルクが入っていることにも驚いたようでした。英国と日本、こんなところにもギャップがあると、改めて気づいた買い物の時間となりました。