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英国のラップはなぜ切れない?

「やっぱり英国でもラップはうまく切れないね」。姉が夕飯の片付けを手伝ってくれたときにつぶやきました。当時、姉は義兄と一緒にフランスに3カ月ほど滞在中で、パリから私たちの住むブリストルに1週間ほど滞在しに来てくれていました。
「パリでもラップがくっついちゃって、ちゃんと切れなくて困っていたんだよ。日本からラップを大量に持ってくればよかった、って後で思ったんだけど」。そう姉に言われてあらためて、在英日本人の間では日本一時帰国の際に、たくさんの日本食品に加えてキッチン用のラップを持って帰ってくるのが必須事項だったと思い出しました。
また、かつて英国に住んでいた友人が、日本からお菓子や日本食の差し入れを送ってくれるときに必ず、そっとラップを忍ばせてくれるのも、英国暮らしの経験者だからこその気配りだと、毎回感謝しています。
さて、英国ではクリング・フィルムと呼ばれるこの食品用ラップ。箱自体が日本のものに比べて脆ぜいじゃく弱な上に、付いているカッターが頼りないため、切りにくいことこの上ない。また、薄っぺらくてヘナヘナしていて、茶碗や耐熱皿を覆ってもうまくくっつかない、といったところが、在英日本人にとっての主なストレスの原因ですよね。
ポリ塩化ビニリデン(PVDC)という素材を使っている日本の大手メーカーは、英国の主流クリング・フィルムに使われるポリエチレン(PE)製よりも密着性が高く、切りやすく、熱耐性も優れている、というデータを出しているので、性能の違いはこうした素材の違いに由来するのかもしれません。
実は、最近では食事の残りものなどはできるだけプラスチックの容器で保存するようにしている私は、クリング・フィルムを使うことはほとんどなくなりました。
とはいえ、昨年秋、息子がカレッジに入学してから、学校のお弁当に毎日サンドイッチを自分で作って持っていくというので、サンドイッチを包むためにとクリング・フィルムを久しぶりに購入。ところが息子は作ったサンドイッチをアルミ・ホイルに包んでいるではありませんか。
息子によれば「ホイルの方がしっかりしているし、英国ではこれが普通」とのこと。子どもたちが幼いころ、お弁当にサンドイッチやおにぎりを持たせたときは、いつもクリング・フィルムを使っていた私ですが、それは英国流ではなかったことを今更ながら知りました。
日本人の母親に育てられても、子どもたちには英国流の習慣が身に付いていたという、家庭内での日英のギャップを感じた出来事でした。



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マクギネス真美






