#30 ゆらゆら揺れるボート型キーリング
英国には特定の誰かを助けるためのさまざまな慈善活動団体が存在するが、なかにはその存在を常に必要とされ、200年近くも活動を続けている団体がある。今回は、水辺での人命救助活動をボランティアで行い、これまでのべ14万3900人以上の命を救ってきた「王立救命艇協会」(Royal National Lifeboat Institution=RNLI)と、購入することで同協会の活動をサポートできるオリジナル商品について紹介しよう。
マン島に住んでいた創設者のウィリアム・ヒラリー卿(1771〜1847年)は、同島周辺の海域で多くの船が難破する事態を憂い、訓練を受けた乗組員による救命サービスの設立について海軍に話を持ちかけてみたが、いい反応が得られなかった。そこで、計画のアピール先をロンドンの慈善活動に熱心な人々に変えたところ、すんなり設立の話が通り、1824年に難破した船の人命救助とその荷物や所有物などの資産保護する王立機関としてスタートさせることができた。当時から基本的にはボランティアによる活動で、人手が足りないときは寄付金で補うという体制の下、24時間年中無休の捜索救助救命艇サービスを提供することを目指した。1854年に現在のRNLIに名前が変更された。
RNLIの主な活動は英国やアイルランド周辺の沿岸や海域における人命救急活動だ。専門的なトレーニングを受けたボランティアたちの活動は海難事故への対応はもちろん、洪水時の救助活動や夏のビーチのライフセービングまでその内容は多岐にわたる。また、その合間には子どもたちへのリスク指導など水難事故防止の取り組みにも努めている。現在ボランティア人員は同協会の95パーセントとなっており、エキスパートたちと共に日々活動に当たっている。
寄付によって運営される協会ゆえ、自身で商品を販売しその売り上げも全て資金に当てている。今回紹介するアフロート・キーリングは、ボートをかたどった透明の容器のなかに、海をイメージさせるような青い液体とオレンジ色の船が浮かんでおり、揺らすと船がその動きに合わせゆらゆら動く仕組みだ。救難ボートらしく、中の船はキーリングをひっくり返しても決して転覆しないのが粋なデザイン。観光地の土産屋にあるような郷愁を覚える見た目もまたいい。RNLI独自の商品はこのほかにも多数あり、購入は沿岸部を中心に160を超える店舗のほかオンライン・ショップで可能だ。