5月7日に行われる英国総選挙の結果は予想しづらいものになっている。前回2010年の総選挙では「有権者に第三の選択肢を」と訴えた自由民主党のニック・クレッグ党首の人気が沸騰、保守党と自由民主党の連立政権が誕生した。連立は第二次大戦中の戦時内閣以来のことだった。今回は保守党と労働党がデットヒートを繰り広げるが、地域政党・スコットランド民族党が国政選挙に本格参戦するなど二大政党制の液状化が起きている。接戦必至の2015年総選挙の行方を探る。(木村 正人)
7党首そろい踏みのTV討論
4月2日、主要7党の党首によるTV討論が行われた。前 回の総選挙では労働党、保守党、自由民主党の3党首TV 討論が初めて行われたが、今回いよいよ英国伝統の二大政党制も終わったという印象を強くした。下院議員1人の緑 の党に加え、地域政党のスコットランド民族党(SNP)、ウェールズ民族党、そしてシングル・イシュー政党の英国独立党(UKIP)も参戦し、まさにプロレスのバトルロイヤルさながらだった。
デービット・キャメロン首相
「労働党は前回(世界金融危機で)労働者を傷めつけた。保守党はそんなことは二度と起こさない」
労働党のエド・ミリバンド党首
「キャメロン首相は過去ばかり語りたがる。未来を語ることを望んでいないからだ」
SNPのニコラ・スタージョン党首
「イングランド、ウェールズ、北アイルランドの人々に伝えたいメッセージは『友好』だ。しかしスコットランド独立を望んでいないというフリはしない」
UKIPのナイジェル・ファラージ党首
「我々がEUに留まっている限り、移民は制御できない。旧共産圏の10カ国に門戸を開いた。入国管理のコントロールを取り戻さなければならない」
討論は1対1、首相と最大野党の党首がガチンコ勝負を繰り広げた方が争点や問題点がはっきりして、分かりやすい。議論も深まる。各党の政策を見ても複雑化し、争点がぼけてしまっている。
4党首の支持率が拮抗
2013年1月23日、EU離脱の是非を問う国民投票を行う意向を示すキャメロン首相
対面式の討論は英国が誇る伝統だ。ビッグ・ベン(時計塔)で有名なウェストミンスター(英国会議事堂)の議場は対面式。議長席から見て右が政府・与党席、左が野党席。剣をお互いに伸ばしても切っ先が触れない距離が両サイドの間に設けられており、毎週水曜日に党首討論が行われている。
戦時下の宰相ウィンストン・チャーチルは1943年、「我々が議場を設計すると、今度は議場の構造が我々の精神を形作る」と演説した。ドイツ軍の空爆で破壊された議場は議員席が不足していたにもかかわらず、戦後、昔の形のまま再建された。多大な犠牲を払ってまで英国がナチス・ドイツと戦ったのは、「言論の自由」という伝統的な価値を守るためだ。対面式の議場をそのシンボルとして残そうとチャーチルは英国を鼓舞したのだ。
2010年9月29日、マンチェスターで行われた労働党党大会中に学生と記念撮影するエド・ミリバンド氏
3人の討論でも論点がぼけるのに7人ともなると、話す内容よりイメージが圧倒的に優先する。7党首TV討論の結果、4社の世論調査を平均すると支持率はキャメロン首相が22%、労働党のミリバンド党首が21.5%、UKIPのファラージ党首が21%、SNPのスタージョン党首が20%と大接戦だった。そもそも今回の選挙において、キャメロン首相は財政再建と景気回復に取り組んだ5年の実績を強調し、ミリバンド党首にチャンスを与えないよう波乱を避ける戦略だ。だから選挙戦も必然的に盛り上がらない。
BBCの人気プレゼンテーター、アンドリュー・マー氏はロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで講演した際、「今回が恐らく英国にとって、我々が知る形での、またはEUの一員としての最後の総選挙になる。(有権者の関心が地元の問題に集中し、)650の選挙区で補欠選挙が一斉に行われるのと同じだ」とため息をついた。外交と言っても、選挙戦で語られるのは欧州連合(EU)に残留するか、離脱するかという幼稚な議論だけ。離脱して一番困るのは英国自身だ。英国経済は外国資本と移民で潤っている。EU離脱が確実になれば外資系企業はEU域内に機能を移転し、マネーも流出。悲観シナリオでは国内総生産(GDP)が3.09%、金額にして500億ポンド(約8兆8944億円)も減る。仕事がなくなり、惨めな1970年代に逆戻りだ。
2011年3月7日、連立政権の会議に出席するクレッグ副首相 (写真右から2人目)
国防予算を北大西洋条約機構(NATO)のガイドラインに沿ってGDPの2%以上に維持するか否か、ウクライナ危機への対応や過激派組織「イスラム国」対策をどうするかは、全くと言っていいほど俎上(そじょう)に上らない。「イスラム国」への空爆は3月23日時点で194回に上っているが、今回の総選挙後、英国は間違いなくワールド・プレーヤーの座を降りることになるだろう。
3月下旬、英国の調査・戦略コンサルティング会社ポピュラスが英国内で世間の関心を調べたところ、ドイツの格安航空会社ジャーマンウイングスのエアバスA320墜落事故が断トツで63%。英総選挙は3位3%と、BBCの自動車番組「トップ・ギア」の司会者ジェレミー・クラークソン氏の暴力事件(9%)にも遠く及ばなかった。解散前とはいえ、英国の政治は有権者にソッポを向かれていた。
データ分析が予想する英国の次期首相は
ポピュラスが2000近い世論調査の平均値トレンドを分析したところ、3月30日時点で予想議席数は保守党278議席、労働党273議席、スコットランド民族党49議席、自由民主党25議席、SNP49議席。保守党が議会第一党を維持する確率は55%。しかし過半数を獲得するための連立の選択肢がなく、選択肢の幅が広い労働党のミリバンド党首が首相になる確率は70%を超えている。データ・サイエンスを駆使した選挙予想が普及するのは今回が初めてだ。
キャメロン首相の恩師であるキングス・カレッジ・ロンドンのヴァーノン・ボグダナー教授(元オックスフォード大教授)は「ポリティカル・サイエンス(政治科学)は文字通りロケット・サイエンスになった」と脱帽する。ロケット・サイエンスが生身の政治をどこまで正確に予想できるのか、その答えはフタを開けてみるまで分からない。
台風の目になるのはこの2人
スコットランド独立を見据えるスタージョンSNP党首
英国で今、一番注目されている政党 / 政治家と言えば、スコットランドの地域政党・スコットランド民族党(SNP)とニコラ・スタージョン同党首だろう。4月2日に行われた7党首TV討論では、YouGovの世論調査で2位に8ポイント差をつけトップに踊り出た。軽いスコットランド訛りと歯切れの良い語り口が耳に心地良く響く。英国内では「私はSNPに投票できるか?」という検索がグーグルで6位になり、討論中に11万3000回も「スタージョン」の名前がツイートされた。
保守系の高級紙「デーリー・テレグラフ」は、スタージョン党首が2月にフランス大使と会談した際、「労働党のミリバンド党首よりキャメロン首相の方が首相にふさわしい」と語ったとする外務省のメモを暴露した。SNPは選挙後、労働党に閣外協力する形で政権に参加する可能性があるため、社会民主主義を標榜するスタージョン党首の政治信条に疑いを投げ掛け、両党の間に不信感を生じさせるのが狙いとみられている。
核兵器反対の方針を掲げ、核戦力であるトライデント・ミサイルを搭載した原子力潜水艦のスコットランドからの退去を求めているスタージョン党首は、保守党から見れば英国の国防力を弱体化させる「危険人物」に見えているのかもしれない。しかし地元の有権者からすればスコットランドをより豊かに、より住みやすくしてくれる最も頼りになる政治家だ。昨年9月のスコットランド独立を問う住民投票は44.7%対55.3%で否決されたものの、SNPの党員は約2万5000人から10万5000人以上に膨れ上がった。
5月の総選挙でSNPは議席を前回の6から38~55に一気に増やすと予想されている。手練の政治家アレックス・サモンド氏からバトンを引き継いだスタージョン党首は、総選挙で党勢を伸ばして、スコットランド自治拡大の地歩を固め、来年5月のスコットランド議会選で再び単独過半数を目指している。この勢いが続けば、いずれ住民投票でスコットランド独立が可決される日が訪れるのは避けられないだろう。
UKIPファラージ党首はまさかの落選の危機?
EU離脱と移民規制を掲げるシングル・イシュー政党・英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首の趣味は夜中に英南東部ケント州の海岸で1人になって投げ釣りを楽しむことだ。パブでパイント・グラスを傾け、煙草の煙をくゆらし弁舌を振るい続ける騒々しい姿からはとても想像しがたい。
昨年5月の欧州議会選において得票率27.5%で24議席を獲得して英国の第一党に躍り出た。10月から11月にかけて行われた3補欠選挙で保守党からUKIPに鞍替えした欧州懐疑派議員が2議席を獲得。しかしここにきてUKIPは失速した。世論調査の同党支持率は10%を割ることもあり、ファラージ党首が立候補する選挙区で3月に同党支持者の出資により実施された世論調査では、予想以上に悪い結果が出た。
ライバルの保守党候補が31%でトップ、ファラージ党首は30%で2位。しかも労働党候補に1ポイント差まで追い上げられていた。2月時点ではファラージ党首が労働党候補を10ポイント引き離し断トツで先頭を走っていた。UKIPは結果を発表して選挙運動に弾みをつける腹積もりだったが、思惑は見事に外れた。落選すればファラージ党首は党首を辞任する考えだ。
欧州の経済・通貨・政治統合を推進させるマーストリヒト条約の批准に反対する英国内の勢力が1993年にUKIPを発足させた。同条約がうたう欧州連邦主義は英国伝統の議会主権を損なう恐れがあるからだ。ファラージ党首はもともと保守党のメンバーだったが、UKIP創設に参加した。欧州議会選に初当選した99年当時、議会に懐疑派はほとんどいなかった。しかし2001年の米中枢同時テロ、08年の世界金融危機とそれに続く欧州債務危機で欧州に暗雲が垂れ込める。今や欧州議会の3割近くが欧州懐疑派、極右・極左勢力だ。
キャメロン首相は移民の純増を毎年10万人以内に抑えたい方針だが、実際は30万人近い。ファラージ党首は「HIV(ヒト免疫不全ウイルス)保有者の移民を規制することから始めよう」と宣言。有権者から「UKIPは人種差別主義者」と攻撃され始めたことも失速の大きな原因になっている。
総選挙の仕組み
英国の議会は上院(貴族院)と下院(庶民院)で構成される。このうち選挙で議員が選ばれるのは下院だけ。かつて下院と上院が激しく対立し、議会の審議が暗礁に乗り上げてしまった反省から、1911年、1949年の議会法で金銭法案や一般法案の審議における「下院の優越」が定められている。英国の下院には日本の衆院よりも強い権限が与えられている。
英国では国王の権限を制限する形で議会が発展し、国王擁護の立場をとる「トーリー党」(保守党の前身)と、議会の利益を掲げる「ホイッグ党」(自由党、自由民主党の前身)が二大政党の源流になった。1885年の議席再配分法でほぼ全面的に小選挙区を導入。この選挙制度では1選挙区に1人しか当選できない。このため、死票になるのを嫌って二大政党に投票する傾向が強くなり、保守党と自由党、1920年代に入ってからは保守党と労働党という二大政党間での政権交代を実現させてきた。
2010年5月10日、総選挙で第二党となり、労働党の党首辞任を表明するゴードン・ブラウン首相(当時)
英国の政権交代は劇場の回り舞台が回転するように目の前でスムーズに起きるため、自民党政権が戦後38年も続いた日本でも1994年、これに倣って衆院選に小選挙区比例代表制が導入された。しかし二大政党制のふるさとである英国では、労働党のブレア首相時代に資本家でも労働者でもない中産階級が拡大。北アイルランド、スコットランド、ウェールズへの地方分権も大きな転機となり、多党化の流れが急速に進んだ。今回の総選挙も前回同様、どの政党も単独で過半数に届かない「ハング・パーラメント(宙ぶらりんの議会)」になるのは確実で、主要3党のいずれかが連立したり、閣外協力したりしないと政権が樹立できない見通しだ。
前回は与党・労働党と自由民主党、最大野党・保守党と自由民主党の間でそれぞれ連立交渉が行われ、投票日から数えて5日目に保守党を与党第一党とするキャメロン政権が誕生した。今回は何日かかるか予想もつかない。不安定な少数政権が発足すれば再選挙の可能性も否定できない。英国は二大政党のいずれかを軸にした「連立の時代」に本格的に突入する。
2010年総選挙の結果
議席数: 650 | 獲得議席 | 議席の増減 | 得票率 |
保守党 | 307 | 97増 | 36.1% |
---|---|---|---|
労働党 | 258 | 91減 | 29% |
自由民主党 | 57 | 5減 | 23% |
民主統一党(DUP) | 8 | 1減 | 0.6% |
スコットランド民族党(SNP) | 6 | 0 | 1.7% |
シン・フェイン党 | 5 | 0 | 0.6% |
その他 | 9 | 0 | 9% |
注目の5政党の主な政策を比較
ここでは、保守党、労働党、自由民主党、スコットランド民族党、英国独立党の政策を、5つのテーマ別に比較してみることとする。
*テーマのタブをクリックすると、各政党それぞれの政策がご覧になれます。
- 経済・財政
- 経済・財政
- 医療・介護
- 移民・欧州連合(EU)
- 年金・福祉
- 税金
上の政策タブをクリックして、各政党の政策をご覧ください。
経済・財政
保守党 Conservative
- 2020年の議会期末までに財政赤字をなくして黒字化する。
- 働きたいと望むすべての労働者が働ける完全雇用を目指す。
- 福祉手当の上限を引き下げて捻出した資金で300万人の実習生を支援する。
- 起業向けの融資件数を3倍に増やし7万5000件にする。
労働党 Labour
- 次の議会期中に対GDP比の政府債務を減らし、財政を黒字化。新しい歳出のために借り入れをしない。
- 法定最低賃金を時給8ポンドに引き上げ、「搾取的」なゼロ・アワー契約を禁止する。
- 実習生をさらに年8万人拡大。
自由民主党 Lib Dems
- 歳出削減と増税で2017年度末までに財政赤字を解消する。
- 実習生の枠を拡大。職業技術を磨く国立カレッジを発展させる。
- 父親の育児休暇を2週間から6週間に延長する。
- 銀行への法人税の課税強化で10億ポンド税収を増やす。
スコットランド民族党 SNP
- 雇用創出のためのさらなる権限をスコットランドに移譲する。
- 零細企業ボーナス・スキーム *2 を守る。
- 温暖化対策を促進する経済を発展させる。
- 実習生12万5000人への支援を継続する。
- 最低賃金と「生活賃金」*3 を決める権限をスコットランドに与える。
英国独立党 UKIP
- 政府債務を削減する。
- EUに課せられた法律や規制を見直し、英国の競争力を削ぐ障害を取り除く。
- 英国に適した新しい貿易協定を結ぶため、欧州と交渉する。
- 世界貿易機関(WTO)での英国の地位を高める。
医療・介護
保守党 Conservative
- NHS(国民医療制度)の実質歳出を毎年増やす。
- 一般医(GP)を5000人さらに増やす。
- 2020年までに週7日午前8時から午後8時の間、GPの診察を受けられる体制をつくる。
- 患者一人ひとりがかかりつけGPを持てるようにする。
労働党 Labour
- NHS予算を年25億ポンド増額。看護師を2万人、GPを8000人増やす。
- サービスの質を低下させた2012年医療及び社会的ケア改革法は廃止する。
- NHSの医療管理と地方自治体の社会的ケアのサービスを一体化。
- 在宅介護の訪問ケアを15分以内で済ませる習慣を終わらせる。
自由民主党 Lib Dems
- 2018年までにNHSの実質予算を年10億ポンド増額し、2020年までに最低でも実質80億ポンド(年)増やす。
- 医療と社会的ケアの予算を一体化する。
- 父親の育児休暇を2週間から6週間に延長する。
- 子供向けも含めた精神衛生医療の予算を年5億ポンド増額する。精神衛生診療の待ち時間を減らす。
スコットランド民族党 SNP
- スコットランドの医療サービスの予算を守り、質を向上する。
- NHSにおける管理職の数を25%削減。医療サービスへのアクセスを柔軟にして、待ち時間を減らす。
- ワン・ストップでがんの診断をできるようにする。
- 情報提供サービスNHS24とスコットランド救急サービスの一体化をさらに進める。
英国独立党 UKIP
- EU離脱により短期滞在者の「NHSただ乗り」を防ぎ、さらに中間管理職の無駄を省いてNHSの現場予算を年30億ポンド増額する。
- GP診療所を週に最低1回は夜まで開業する。
- 社会的ケアの予算を年10億ポンド増やす。
移民・欧州連合(EU)
保守党 Conservative
- EUと再交渉後、残留か離脱かを問う国民投票を2017年末までに実施する。
- 一般医(GP)を5000人さらに増やす。
- EUからの移民は滞在期間4年で、福祉手当や自治体が低価格で提供する住宅を申請できる。
- EUとの貿易を増やすが、「限りなく連合体に近い」EUには反対する。
労働党 Labour
- EU予算を改革し、共通農業政策(CAP)への支出をやめる。
- EUからの移民が英国人労働者の賃金を下げないように対策を施す。
- 入国管理局の職員を1000人増やし、審査を適正化する。
- EU移民は滞在期間が2年を経過してから失業手当を申請できるようにする。
自由民主党 Lib Dems
- EUに残留し、英国企業のために新しい市場を開放する。
- 簡易化された出入国管理の審査を元に戻す。失業手当申請者で英語力の低い者に対しては英語コースへの参加を求める。
- 英国外で暮らす子供のための児童手当を段階的に縮小する。
スコットランド民族党 SNP
- EU加盟を支持。漁業や農業の交渉にスコットランドの声を反映させる。
- スコットランドの経済状況に合うように入国管理法令を変更する。
- スコットランドの大学を卒業した留学生が、合意された期間、同地方で働けるようにする。
- 入国者に対してポイント制でスコットランドにおける在留資格を認める。
英国独立党 UKIP
- 国民投票で可決してEUから離脱、英議会の立法権を守る。
- 英国への移民をコントロールするため移民制御委員会を設置。
- 入国管理局の職員を2500人増やす。
- 移民は滞在期間が5年を経過した後、福祉手当を申請できる。
年金・福祉
保守党 Conservative
- バスの無料乗車券、TVライセンス支払い免除措置、冬季燃料手当といった年金生活者への扶助を守る。
- 年金原資を投資や消費に充てる自由を認める。
- 世帯当たりの福祉手当の上限を3000ポンド引き下げる。
- 他の会社で働くことを妨げるゼロ・アワー契約を禁止する。
労働党 Labour
- 豊富な蓄えのある年金生活者の税控除をなくす。
- 25歳未満で1年以上、25歳以上で2年以上失業している人に仕事を保障する。
- 「ベッドルーム税」*1 を廃止する。
- 福祉支出に上限を設ける。
自由民主党 Lib Dems
- 所得税率40%の年金生活者は冬季燃料手当、TVライセンス支払い免除措置を廃止。バスの無料乗車券は維持。
- インフレ率、賃上げ率、2.5%のうち一番高い上昇率に合わせて年金支給額を増やす制度を維持する。
- 2年間は福祉手当の上昇率を年1%以内に抑える。
スコットランド民族党 SNP
- 2028年までに定年年齢を67歳に引き上げるとする英国の計画を問い直す。
- ベッドルーム税を廃止する。
- 福祉に関する権限がスコットランドに与えられるまで、同地におけるユニバーサル・クレジット及び個人自立手当を停止する。
英国独立党 UKIP
- 定年年齢は引き上げない。
- 年金に関するアドバイスを提供する。
- ベッドルームに関係する住宅手当の変更を廃止する。
- 児童手当は一家庭につき2人まで支給。また、英国に在住していない子供への児童手当を停止する。
- 介護者に対する控除額を引き上げる。
税金
保守党 Conservative
- 個人の所得控除額を1万2500ポンドに引き上げる。
- 年金原資を投資や消費に充てる自由を認める。
- 所得税率40%が適用される所得額を5万ポンドに引き上げる。
- 付加価値税(VAT)は増税しない。
労働党 Labour
- 年収15万ポンド以上の高額所得者には50%の最高税率を再導入。
- 200万ポンド以上の邸宅に「豪邸税」をかける。
- 10%の最低所得税率を復活させる。
- 2015年に零細企業の法人税率を引き下げ、16年も継続する。
自由民主党 Lib Dems
- 個人の所得控除額を1万2500ポンドに引き上げる。
- 200万ポンド以上の邸宅にかける「豪邸税」で15億ポンドの税収を確保する。
- 法人や富裕層、節税対策への課税強化で140億ポンドの税収を確保する。
- 一時滞在者の立場を利用して節税する富裕層への課税で1億3000万ポンド税収を増やす。
スコットランド民族党 SNP
- 国民保険料を徴収する権限をスコットランドに移譲する。
- 調査・開発費に対する優遇税制を導入する。
- 低所得者への課税を免除するため個人の所得控除額に関する権限をスコットランドに移譲する。
- 児童・勤労税額控除に関する権限をスコットランドに移譲する。
英国独立党 UKIP
- 2020年までに個人の所得控除額を1万3500ポンドに引き上げる。
- 相続税を廃止する。
- ベッドルームに関係する住宅手当の変更を廃止する。
- 所得額4万2285~5万5000ポンドに35%の所得税率を導入する。それ以上の高額所得者は40%。
- 大企業に対して公正な税の負担を求める。
*1 ベッドルーム税: 未使用の部屋がある公営住宅所有者への住宅手当を減らす制度
*2 零細企業ボーナス・スキーム: スコットランド内の零細企業に対する税控除スキーム
*3 生活賃金: 労働者とその家族が基本的な生活を送るのに必要とされる賃金