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Sun, 24 November 2024

布袋寅泰インタビュー 2015年10月21日ロンドン公演

STRANGERS TOUR 2015
2015年10月21日(水)20:00

£22.70~28.38
Islington Assembly Hall, Upper Street, London N1 2UD
Tel: 0844 338 0000
bookingsdirect.com

PROFILE


1962年2月1日生まれ。群馬県出身。81年にロック・バンド「BOØWY」のギタリストと してデビュー。88年の同バンド解散後はソロ活動を本格化。クエンティン・タランティーノ監督の映画「キル・ビル」のメイン・テーマとなった「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」は、英国のiTunes Store の音楽部門で1位を獲得した。2012年8月より家族とともにロンドンに移住。10月16日に英国・欧州先行で新アルバム「STRANGERS」 をリリース、21日にはロンドン公演を行う。 www.hotei.com

この3年間、僕は結構打たれたね

長年の夢だった世界リリースが実現、10月に新作「STRANGERS」がユニバーサル・スパインファームより英国・欧州で先行発売されます。

やっと絶対的なスタート地点に立てた。日本での30余年という長いキャリアの中で培ったものと、ロンドンを拠点とした音楽制作や活動には大きな差があるだけに感慨深いね。日本ではマネージャーやレコード会社のスタッフが僕に代わって大概の準備や段取りをしてくれるけど、英国では何でも自分でこなすのが当たり前。例えばレッド・ツェッペリンのジミー・ペイジにだっていわゆる「お付きの人」はいないでしょう。

プロデューサーとの打ち合わせがあれば、そのスタジオに赴くのは僕一人。愛車のミニ・クーパーにギターと機材を積んで、カーナビを頼りに自分で運転して行く。スタジオの扉を叩き、出迎えてくれた初対面のプロデューサーと挨拶を交わし、ウィキペディアやYouTubeからの過去の履歴や実績からではない、今の僕を感じとってもらうためにコミュニケーションを図る。もちろん、人間性を分かってもらうだけで十分ではなく、いざ「さて、音を出してみようか?」という瞬間からが本当の勝負。自分の音を受け入れてもらえないときもあるし、自分では気付かなかった自身の可能性を引き出してもらえるときもある。本作は初めて英国の音楽プロデューサーに自分を委ねた作品でもあり、同じ音楽業界とはいえ、日本の常識など通じない世界への挑戦だった。色々な意味で、この3年間に僕は結構打たれたね。大変ながらも貴重な経験を経て、英国のレーベルから英国・欧州先行のアルバムの発表というスタート地点に立てたことが素直にうれしいし、誇らしく思っている。

「STRANGERS」の制作には、「パンクのゴッドファーザー」とも呼ばれる米ロック歌手のイギー・ポップを始めとする様々な海外アーティストが参加しています。

今までの日本での活動では、母国語の日本語で喜びや悲しみ、夢や希望や絶望といった感情やメッセージを歌と音でストレートに表現して、ファンの皆さんと分かち合ってきた。しかしロンドンを拠点とし、世界で勝負するに当たり、歌や言葉から一度離れて、自分の原点であり持ち味であるギターに集中するべきであり、コラボレーターとしてのボーカリストの存在は必要不可欠だと考えたんだ。そんな中でイギー・ポップというロックのアイコンが「君の挑戦に力を貸そう」と参加してくれたのは最高にうれしかった。このアルバムには彼のほかにも個性豊かなアーティストたちが参加してくれている。彼らによって、ロック、ブルース、ファンク、エレクトロといった様々なジャンルと異なる時代のエッセンスが詰まった僕のカラフルなギター・スタイルや音楽性が強調されたような気がするよ。

心を躍らせるアーティストでありたい

布袋さんにとってのアイコンと言えば、昨年には日本武道館でのローリング・ストーンズとの共演がありました。

スタジオで作曲中に、知人の音楽関係者から急に電話がかかってきた。「ホテイ。明日、東京へミックに会いに行く気はない?」って。「ん? ミックってどのミック?」って聞いたら、ミック・ジャガーだった。ローリング・ストーンズからの誘いを断るミュージシャンはどこにもいないでしょう。「明日は娘の学校のペアレンツ・ミーティングだ……」と頭によぎり一瞬迷ったけどね (笑)。僕の人生は何年かに一度ビックリするようなことが起こるんだ。

今回のロンドン公演への意気込みをお聞かせいただけますか。

今は英国で文字通りStrangersの一人として暮らしている。この国はStrangersだらけだから、日本人であることは別に特別なことではない。当初は音楽で日本やアジアのエッセンスをもっと強調するべきかと考えたこともあったけど、今では自分の中に流れている音楽をもっと自然に表現したい、と気持ちが変わってきたかな。今回のロンドン公演では演出などに頼らず、ストレートにサウンドで勝負したいと思っている。

エレキ・ギターというと大音量でのハードなイメージがあるかもしれないけど、布袋寅泰が奏でる音はロックというスタイルを取りながらもエレガントかつ繊細でありたいと思う。きっと僕の音楽を聴いたことがない人や女性にも楽しんでもらえるはず。先入観を捨てて気楽に聴きにきて欲しいと思います。

フェスティバルやカーニバルで名前も知らないバンドやアーティストの素晴らしい演奏を聴いたら、それが誰であろうが自然と心は躍るでしょう。僕もまた誰かの心を躍らせるアーティストでありたい。そしてライブが終わって、会場を去った後にもまたその音楽が心で響き出すような演奏ができたらいいなと思う。

ロンドン公演が行われる10月下旬は、朝夕、空が暗く重くて、心に憂鬱な雲がかかり始めるころですよね (笑)。そんな心を晴らしに、在英邦人の皆さんには全員集合してほしいな。「僕も皆さんと同じこのロンドンの空の下で今日も頑張っていますよ!」と伝える場にしたい。皆さんと会えるのを楽しみにしています。

 

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