まずは、「ザ・クリスマス・マーケット」とも言えるほど世界的にも名高いマーケット、そして交通の便も良い主要都市のマーケットからご紹介しよう。華やかさ、賑やかさを求める人には打ってつけのスポットだ。
クリスマスを飾るアートにご注目
Hamburg ハンブルク
ロンドンから飛行機で約1時間40分
例年、年明けに全国の各自治体からドイツ通商連盟に寄せられる都市マーケティング・コンセプトの中で、ハンブルクの市庁舎前のクリスマス・マーケットは本年、「ストア・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。ハンザ都市ハンブルクが今冬展開するのは、商業性よりもアート性を前面に押し出したマーケット。南チロル地方の手工芸品を始め、芸術品としても価値の高い品々がお目見えする。アドベント期間中の毎週日曜には、クリスマス・パレードも開催され、天使や妖精、トナカイなどに仮装した地元の人々が市内を練り歩く。
Rathausmarkt
12月23日(木)まで
11:00〜21:00 金土〜22:00
www.hamburg.de/weihnachtsmarkt
首都ならではの規模の大きさ
Berlin ベルリン
ロンドンから飛行機で約1時間50分
数あるベルリン市内のマーケットの中でも一番人気は、やはり小洒落た雰囲気のジャンダルメンマルクトだろう。市庁舎前の広場を埋め尽くす屋台の群れも見逃せない。首都のホットなクリスマス・シーンを満喫したい人は、ガイド付きで市内の主要観光スポットを巡るバス・ツアー「Lichterfahrt」に乗ろう!商業主義色の濃いマーケットに飽きたという人には、自然素材にこだわった飲食品・伝統工芸品が並ぶパンコウ地区コルビッツプラッツ(広場)の「アドベント・エコマーケット」がオススメ(アドベント期間中、日曜のみ開催)。
Gendarmenmarkt, Vor dem Roten Rathaus, Kollwitzplatzなど
期間、会場時間はウェブサイト参照
www.berlin.de/orte/weihnachtsmaerkte
* Lichterfahrtの詳細は www.bvb.net/196.0.html より
世界遺産が見守る光の海
Köln ケルン
ロンドンから飛行機で約1時間20分
街が誇る世界遺産「ケルン大聖堂」の足元に広がるイルミネーションの海は、一度見たら目に焼き付くほどの煌めき。広場の中心には、ライン地方最大のモミの木がそびえ立ち、その下のステージでは毎日、ケルンっ子たちによる音楽ライブが催される。このほか、ショッピング街にあるノイマルクトには70年代風に飾られた「天使のマーケット」、旧市街のアルター・マルクトには「家の精」を意味する「ハインツェルメンヒェン(Heinzelmännchen)のマーケット」など、個性豊かな名称のマーケットが市内7カ所に立つ。
Roncalliplatz am Dom, Neumarkt, Alter Marktなど
期間、会場時間はウェブサイト参照
www.koeln.de/tourismus/weihnachtliches_koeln
巨大スケートリンクで冬を満喫
Düsseldorf デュッセルドルフ
ロンドンから飛行機で約1時間30分
ベルギーやオランダ、フランスなど、近隣諸国からも多くの観光客が訪れるデュッセルドルフのマーケット。市内の6カ所に立つマーケットが、街中を温かなクリスマス色に染める。今年のハイライトは、ホーフガルテンそばのグスタフ・グリュントゲンス・プラッツに設置される450㎡の広大なスケート・リンク。新鮮な冬の空気を受けながら、思う存分、氷上を滑ろう! 街の観光を兼ねて訪れるならヤン・ベレム像を囲む市庁舎前のマーケット、家族で楽しむなら子供向けの人形劇テントが立つシャドウプラッツのマーケットへ。
Marktplatz, Schadowplatzほか
12月23日(木)まで 11:00〜20:00 金土〜21:00
www.duesseldorf-weihnachtsmarkt.de
名物シュトレンの行進が見もの
Dresden ドレスデン
ロンドンから飛行機で約1時間50分
市内中心部のアルトマルクトに設けられる「シュトリーツェルマルクト(Striezelmarkt)」は、1434年以来続くクリスマス・マーケット。ここで試したいのが、マーケットの名の由来にもなっているドレスデンの名物シュトレン。シナモンの香り豊かで重厚感たっぷりのシュトレンは、クリスマスに欠かせないお菓子だ。ツリーのそばに立つクリスマス・ピラミッドの高さは約14mと、世界最大級。また、ツリー、ピラミッドとともに巨大なくるみ割り人形も佇んでいて、おとぎ話の中に迷い込んだかのような光景を目の当たりにすることができる。
Altmarkt
12月24日(金)まで 10:00~21:00 12月24日 〜14:00
www.dresden.de/striezelmarkt
高品質の手工芸品が大集結
München ミュンヘン
ロンドンから飛行機で約1時間50分
マリーエンプラッツに登場するのは、約2万2000㎡の巨大な「クリストキンドルマルクト」。ここの特徴は、クリスマス・オーナメントが充実していること。約160件連なる屋台のうち、飲食品を提供しているのは20件にも満たず、ほかはすべて木製玩具や陶器、キャンドル、クロステッチなどの手工芸品を売るお店だそう。近年流行している、レーザー加工を施した写真入りのガラス玉デコレーションの製造技術を生で見られる屋台もある。その南方にあるリンダーマルクトには、クリッペ用の飾りの専門店が所狭しと並ぶ。
Marienplatz
12月24日(金)まで 10:00〜20:30 日〜19:30
12月24日 9:00〜14:00
www.christkindlmarkt-muenchen.de
「クリスマスマーケット」の原型
Nürnberg ニュルンベルク
ミュンヘンから列車で約1時間
「世界一有名」と言われるニュルンベルクの「クリストキンドレスマルクト」には、世界中から毎年200万人以上の観光客が訪れる。荘厳なフラウエン教会を望む中央広場に雪が降れば、そこはメルヘンの世界に一変。ロマンティックな光景を堪能したら、名物のレープクーヘンやソーセージを召し上がれ。おみやげにはドライ・フルーツで作られた小人型のお菓子「ツベチュゲンメンレ(Zwetschgenmännle)」をどうぞ。地元産だけでなく、北欧やロシア、アジアなど世界各地の手工芸品を見られるのも職人の街ならでは。
Hauptmarkt
12月24日(金)まで 9:30〜20:00 金土〜22:00 日10:30〜
12月24日〜14:00
www.christkindlesmarkt.de
モダンな金融街に息づく伝統
Frankfurt フランクフルト
ロンドンから飛行機で約1時間30分
欧州有数の金融街フランクフルト。伝統的なクリスマスとは縁がないと思われがちだが、ショッピング地域のツァイルからレーマー広場を抜けてマイン川へと至る街最大のマーケットの起源は、1393年にまでさかのぼるそうだ。切妻屋根が軒を連ねる屋台には、焼きソーセージや焼き栗、レープクーヘンなど定番のお菓子と並んで、文豪ゲーテも好んで食したという、マルチ・パンで作られたこの街のクリスマスの名産「ベートメンヒェン(Bethmännchen)も並ぶ。レーマー広場に佇む、無数の電球が散りばめられたツリーも見もの。
Römerberg, Paulsplatz, Mainkai
12月22日(水)まで 10:00〜21:00 日11:00〜
www.frankfurt-tourismus.de
人ごみでごった返す大規模なマーケットは苦手という人、有名どころはもう押さえたと言う人は、素朴で味わい深い地方のマーケットを訪れてみよう。地元の人との触れ合いも、小さなマーケットの醍醐味の一つだ。
※ 本ページでご紹介したウェブサイトの中には、ドイツ語表記のみのものもあります。詳細の情報を得るには、www.germany-christmas-market.org.uk 、及びその他ウェブサイト等をご参照ください。
Münster ミュンスター
ロンドンから飛行機で約1時間30分
Foto: Presseamt Münster /
Tilman Roßmöller
市内5カ所のマーケットのうち、最大規模のものが ベストファリア平和広場に展開する。また、ゴシック様式の市庁舎から行商人街(Kaufmannhäuser)へと伸びる歴史的な一帯からは、神々しささえ感じられる。
Platz des Westfälischen
Friedensなど
12月23日(木)まで
www.muenster.de/stadt/weihnachtsmarkt
Dortmund ドルトムント
ロンドンから飛行機で約1時間20分
Foto:Thomas Winkler, Lünen
高さ45m、国内最大のツリーがそびえ立つハンザプラッツに、300を超える屋台が建ち並ぶ。街を見下ろすように立つクリスマス・ツリーは、なんと1700本ものモミの木を組み合わせてつくられたものだというのだから驚きだ。
Hansaplatz
12月23日(木)まで
www.weihnachtsmarkt-dortmund.de
Essen エッセン
デュッセルドルフから列車で約30分
Foto: Peter Wieler,
Essen Marketing GmbH
ケネディープラッツに立つマーケットは国際色豊か。国内は地元ルール地方からバイエルン、エルツ山地まで、国外はアフリカからオーストラリア、米国まで各地の名産が一堂に並ぶ。エキゾチックなクリスマスもまた一興だろう。
Kennedyplatz
12月23日(木)まで
www.weihnachtsmarkt.essen.de
Goslar ゴスラー
ロンドンから飛行機でハノーファーまで約1時間30分、
ハノーファーから列車で約1時間30分
©Goslar Marketing GmbH
北ドイツ最大級のゴスラーのマーケットの自慢は、40本の巨大なモミの木が作る「クリスマスの森」。凝った飾り付けの木骨家屋がずらりと並び、無数の灯りが煌めく中を歩けば、大人も子供も誰もがメルヘンティックな気分に浸れるだろう。
Marktplatz
12月29日(水)まで
http://weihnachtswald-goslar.de
Erfurt エアフルト
ロンドンから飛行機で4時間〜(ミュンヘン経由)
中世の貴族たちが所有した絢爛な建築物と木組みの屋台のコントラストが魅力的なドームプラッツのマーケット。その中央に立つ等身大のクリッペや大聖堂前の大きなアドベント・クランツ(リース)、聖歌隊の演奏など、見どころ満載。
Domplatz
12月22日(水)まで
www.erfurter-weihnachtsmarkt.eu
Leipzig ライプツィヒ
ロンドンから飛行機で3時間30分〜(フランクフルト経由)
©Leipzig Tourismus und Marketing
GmbH Foto: LTM-Andreas Schmidt
ライプツィヒのマーケットの始まりは、1767年。老若男女が楽しめるカルチャー・プログラムや飲食店が提供する品揃えの多さで根強い人気を誇っている。ギネスにも登録されている面積857㎡のアドベント・カレンダーは、まさに圧巻!
Marktplatz am Alten Rathaus
12月22日(水)まで
www.leipzig.de/weihnachtsmarkt
Zwickau ツヴィッカウ
ライプツィヒから列車で約1時間30分
Foto: KULTUR Z. GmbH
エルツ山地の北麓に位置するツウィッカウは、ドイツが生んだ名作曲家、シューマンの生誕地として知られる。この街は、木製の手工芸品の名産地としても有名で、コルンマルクトのマーケットではデコレーションの工作教室が開かれる。
Kornmarkt
12月23日(木)まで
www.weihnachtsmarkt-zwickau.de
Bernkastel-Kues ベルンカステル・キュース
ロンドンから飛行機でルクセンブルクまで約1時間15分、
ルクセンブルクから列車とバスで約2時間30分、
またはフランクフルトから列車とバスで約3時間30分
ドイツ・ワインの名産地モーゼル川流域にある田舎町ベルンカステル・キュール。ここのマーケットは、ドイツ人の間で密かな人気を集める穴場スポット。中世にタイム・スリップした気分で、昔ながらの素朴なクリスマスを垣間見られる。
Alter Marktplatz
12月19日(日)まで
www.weihnachtsmarkt-bernkastel-kues.de
Ludwigsburg ルートヴィヒスブルク
シュトゥットガルトから列車で約15分
Foto: Stadt Ludwigsburg
シュトゥットガルトの北方約12kmに位置する小さな街のマーケットは、街の象徴がバロック様式の2つの教会であることから、その名も「バロック・クリスマス・マーケット」。期間中の土曜にはフリードリヒ1世の行列も出現!
Marktplatz
12月22日(水)まで
www.ludwigsburg.de
Stuttgart シュトゥットガルト
ロンドンから飛行機で約1時間30分
こちらは「世界最大のクリスマス・マーケット」が売り文句。マルクトプラッツとシラープラッツの2カ所合わせて270件以上に及ぶ屋台には、どれも眩いほどの電飾が施され、「世界一美しいマーケット」とも呼ばれるこの場所にふさわしい輝きを放つ。
Marktplatz, Schillerplatz
12月23日(木)まで
www.stuttgarter-weihnachtsmarkt.de
Augsburg アウグスブルク
ロンドンから飛行機でミュンヘンまで約1時間50分、
ミュンヘンから列車で約45分
Foto: Amt für Verbraucherschutz und
Marktwesen Augsburg, Regio Augsburg,
Mark Steven Patrick/ Jürgen Windisch
ルネッサンス様式の市庁舎前ではマーケット期間中の毎週末、24人の可愛らしい天使たちが「天使の演奏会」を開き、市庁舎を大きなアドベント・カレンダーに変える。家族で一緒に楽しめる演劇などのプログラムも目白押し。
Rathausplatz
12月24日(金)まで
www.augsburger-christkindlesmarkt.com
*アクセスはあくまで一例です。時期や交通手段によって時間は異なってきますので、ご注意ください。
ドイツのクリスマス・マーケットは初体験という人はもとより、何度も訪れたことがあるベテランにも、意外と知られていないことはあるだろう。そこで、知っておけばマーケットをより楽しめる、豆知識をまずはご紹介。
グリューワイン
赤ワインにシナモンやチョウジなどの香辛料を効かせた、ドイツのクリスマスには欠かせないドリンク。マーケットを訪れたら、まずはシナモンの香りに誘われて、湯気の立つ屋台でゴクッと1杯いかが?冷え切った体を芯から温めてくれる。グラスはたいていデポジット制だが、地域、年、屋台によってデザインが異なるので、記念に購入するのも良いだろう。
ツリーに飾るガラス玉
屋台の中でも目を引くのが、凝った細工の施されたツリー用のガラス玉。その昔、飾りとして一般的だったリンゴや卵に代わり、この玉が登場したのは中世の頃。ガラス工芸で知られるテューリンゲンのガラス職人たちが、流行らなくなったネックレスに代わる新商品として考案したのが始まりだった。見ているだけで心ときめくガラス玉、おみやげにどうぞ。
クリスマスクリッペ
キリスト降誕の場面を表すクリッペは1223年、フランシスコ修道会の創設者、アッシジの聖フランチェスコがイタリアのグレッチョという街で生きた動物を使ってキリスト生誕を祝ったことに由来する。マリア、ヨゼフ、キリストの3人を軸に、受胎告知の天使や羊飼い、羊、雄牛、ロバなどが加わるものもある。
クリスマスピラミッド
段々重ねのろうそく立ての頭にプロペラが付いたようなクリスマス・ピラミッドの発祥は、18~19世紀頃、エルツ山地の木工職人たちの発案で作られたと伝えられる。ピラミッドの各段には楽園やキリスト生誕、天使などをテーマにした場面が像で表現されている。周りのろうそくが灯されると、像や一番上の輪が回転する仕組み。