コロネーション・チキン
Coronation Chicken
4月21日はエリザベス女王の誕生日でした。今年は90歳の記念すべき年ということで、多くの祝賀行事に加え、「公式誕生日」の翌日である6月12日にはバッキンガム宮殿前の通り「ザ・マル」で大規模なストリート・パーティーが行われる予定です。
ストリート・パーティーは、2012年のエリザベス女王在位60年を祝うダイヤモンド・ジュビリーの際にも英国内の各地で開かれました。我が家の前の通りでも、雨の降る中、大勢のご近所さんが集まりました。パーティー主催者のアリソンから「食べ物と飲み物は皆で持ち寄る」と聞いていたので、私は巻き寿司と紅茶豚、人参のサラダを持参。テーブルに料理を並べていたとき、隣にクリーム・ソースで混ぜたサラダらしき料理を置いた女性がいました。「それは何ですか?」と聞くと、彼女は「コロネーション・チキンよ。食べてみる?」と、近くにあった紙皿によそってくれました。私はそのとき、初めてコロネーション・チキンを食べたのですが、それはカレー風味のマヨネーズであえた鶏肉のサラダといった感じ。彼女は「サンドイッチの具にもなるし、ビュッフェ・パーティーでも必ずといっていいほど出てくるわよ」と教えてくれました。
このコロネーション・チキンは、1953年、エリザベス女王戴冠式の昼食会で登場したメニューです。正式な名前はフランス語で「プーレ・レーヌ・エリザベス(Poulet Reine Elizabeth)」。パリを本拠とする料理学校「ル・コルドン・ブルー」ロンドン校の校長であったローズマリー・ヒュームさんが考案しました。第二次大戦の勝利国とはいえ、当時の英国はまだ配給制があり、食材の調達は容易ではなかったといいます。そうした状況下、世界各国から集まった約350人の客たちに、贅沢品である鶏肉を使った料理でもてなした昼食会は大成功。コロネーション・チキンは今でも英国人に人気のある一品となりました。
調べてみると、メニューの生み出されたル・コルドン・ブルー・ロンドン校のカフェでコロネーション・チキンをいただけるとのこと。さっそく食べに行ってみました。
鶏肉はサイコロ状にカットされ、絡まったソースは薄い卵色。小さなお皿にみたてたようなジェム・レタスに包まれ、コリアンダーの葉が飾られています。下にはバスマティ・ライスのサラダ。これにはグリーンピースと、それと同じくらいの大きさに丸く型抜きされたキュウリ、そして刻んだコリアンダーとチャイブが混ざっています。カレーの味はかすかにする程度で鶏肉は噛む必要がないかと思うほどしっとりと柔らか。ハーブの風味が利いたさっぱりしたライスに、スパイスとほんのり甘みも感じるクリーミーなソースがよく合います。レシピは現代風にアレンジされているそうですが、やっぱりちょっとポッシュなコロネーション・チキンという気がしました。ちなみに値段は7.60ポンドです。
簡単コロネーション・チキン(1人分)
材料
- 鶏胸肉 ... 1枚
- しょうが ... 1かけ
- 塩 ... 適量
- マヨネーズ ... 50g
- カレー粉 ... 小さじ1/2
- マンゴー・チャツネ ... 小さじ1
- サルタナ(水につけて柔らかくしておく) ... 適量
作り方
- なべに水、鶏胸肉、しょうがと塩少々を入れて茹でる。火が通ったら完全に冷ます(鶏肉はロースト・チキンの残りを使ってもOK です)。
- 冷めた鶏肉をさいの目状に切る。
- ボウルにマヨネーズ、カレー粉、マンゴー・チャツネ、サルタナを加えてよく混ぜる。このとき、味見をして好みの味に調整してください。
- ❸に❷を加えて出来上がり。
memo
ル・コルドン・ブルーのサイトには、2タイプのレシピが掲載されています。本格的に作りたい方はそちらをご覧ください。
「トラディショナル」
www.cordonbleu.edu/news/classicalcoronation/en
「モダン」
www.cordonbleu.edu/news/moderncoronation/en