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Tue, 24 December 2024

英国の口福こうふくを探して

「英国料理はまずい」だなんて、言い古された悪評など何のその。おなじみのものから、意外と知られていないメニューまで、英国の伝統料理やお菓子には、舌が悦ぶものが色々あります。ぜひ一度ご賞味を。


No. 60

ポリッジ
Porridge

Porridge

「ポリッジ」と言えば、「三びきのくま」や「秘密の花園」など、英国の児童書にもよく登場する、お粥のような食べ物。オーツ麦を水やミルクで煮て、熱々どろどろになったところをいただきます。

英国中で古くから貴重なエネルギー源として食されてきましたが、特にスコットランドでは「国民食」とまで呼ばれ、最も一般的な朝食とされてきたと言います。

それならばと、スコティッシュの義父にポリッジについてインタビューしてみました。

義父によれば、子供時代はほぼ毎朝、ポリッジを食べていたそうです。また、友人家庭でも同様だったと。

現在では、シロップやハチミツをかけたり、ナッツやフルーツなどをトッピングする人もいますが、当時のスコットランドではひとつまみの塩を入れる、というのが常識でした。今でも「水と塩で煮たものこそまっとうなポリッジだ」と主張するスコットランド人も多いとか。

「子供のころは、ポリッジの上にほんのひとさじの砂糖をかけてもらってた。父には甘やかしすぎだと思われていたけれど」と義父。当時、スコットランドで食べていたポリッジ・オーツは「Scott's Porage Oats」というブランドのもので、これ以外は見たことがなかったそうです。ちなみにこの商品の「Porage」という表記ですが、ポリッジの古い綴り方の一つなのだとか。また、フランス語で野菜などをスープやシチューにしたものを指す「potage」ともかけ合わせて、他社ブランドとの差別化を図ってつけられました。1914年以来、同社のみで使用されている登録商標です。

ところで、私がポリッジを口にしたのはこれまでに2度。どちらも完食には至らず。そこで今回は、Scott's Porage Oatsの「Old fashioned」という箱を買って再挑戦してみました。最初は牛乳で煮てゴールデン・シロップをかけたのですが、どうもいけません。本誌1475号でご紹介した市販のライス・プディングを思い出します。つまり、おじやのようなのにミルク味というのが、喉元でブレーキをかけるのです。

そこで、スコティッシュ風に潔く水で煮込むことに。出来上がりを4つのボウルに分けて、砂糖、塩、醤油、ゴールデン・シロップをそれぞれかけてみました。

塩味のものは、まるで玄米のお粥。砂糖のものは、おはぎのような味わい。醤油はまさにおじやそのもの! それならばと、土なべにポリッジと茅乃舎のだし、塩と醤油少々、卵を入れて本格的におじやを作ってみました。結果は確かに悪くない。でも、食べ終えてみれば、わざわざポリッジでおじやを作る必要もないかな~、という結論に。

結局、他ブランドのものを含めリサーチ用に買った2.5キロのポリッジ・オーツは、フラップ・ジャックとグラノーラに化けそうな予感がしています。

ポリッジの作り方(1人分)

材料

  • ポリッジ用オーツ麦 ... 40g
  • 水または牛乳 ... 200~300ml(好みの量で)
  • 砂糖、塩、ゴールデン・シロップ、 ハチミツなど、好みのトッピング

作り方

  1. 小なべにオーツ麦と水または牛乳を入れ、オーツ麦が柔らかくなるまで煮立てる。水、牛乳の水分量は好みで調整してください。
  2. 好みのトッピングをして出来上がり。手軽に作るには電子レンジ使用も可(調理時間はメーカー毎のガイドに従ってください)。
memo

ヘルシーということに加え、体を温めるという利点もあるポリッジ。最近では高級ホテルの朝食メニューにも登場するなど、人気が復活しています。また、お洒落なトッピングをしたポリッジはインスタ映え(Instagrammable)するとも言われているようですよ。

 

マクギネス真美マクギネス真美
英国在住の編集&ライター。日本での9年半の雑誌編集を経て、2003年渡英。以降、英国を拠点に、ライフスタイル、ガーデニング、食などの取材、執筆を行う。英国料理の師は義母。
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