FRS102での優先株式の会計処理
新型コロナウイルスの影響により、追加で資金調達の必要性を迫られたり、資金調達が急務となったりし、これが多くの企業にとって新たな投資機会となっています。
EU諸国への販売では、 EC売上リストを引き続き提出する必要がありますか。 表題の優先株式とは何ですか。優先株式は、発行企業に対する既存の議決権を希薄化せずに、投資家に投資機会を提供します。優先株式はより安全性が高く、企業に対する議決権の欠如を補うために利益分を毎年提供します。
その企業が清算または解散する場合には、財産の受領で優先株式は普通株式よりも優先順位が高くなります。優先株式には通常、年間配当金の割合が記載されるとともに、多くの償還オプションがあります。こうしたオプションは、会計処理および結果として貸借対照表の表示に大きな影響を与える可能性があります。
優先株式は、法定会計でどのように表示されますか。発行企業は財務報告基準のFRS102に従って、法定会計に発行した優先株式を表示する必要があります。FRS102 は、資本と金融負債の両方を明確に定義しています。資本は、企業の全負債を差し引いた後の資産の残余持分として定義されています。金融負債は、現金またはほかの金融資産を別の企業に提供する契約上の義務として定義されています。
優先株式は、完全な資本、完全な金融負債、または資本と負債の両方の組み合わせにできます。会計処理は、優先株式の発行で生じた金融負債に従って決めます。このため、企業は優先株式の金融負債部分を最初に算出する必要があり、資本の要素はその残りの価値になります。
優先株式は、金融負債としてどのように表示できますか。優先株式が定められた期日に固定額で償還が可能か、または保有者のオプションで償還が可能な場合は、こうした将来的な支払いは金融負債を生み出します。優先株式に一定の配当金があり、定められた期日に固定額で償還が可能か、または保有者のオプションで償還が可能な場合は、企業はこうした支払い(配当金、その後の償還)を行う契約上の義務があるため、金銭負債が生じます。
優先株式を完全な資本にできますか。配当金の支払いが企業の裁量で行われ、優先株式が償還不可能であるか、または企業の裁量でのみ償還が可能な場合は、その優先株式は貸借対照表で完全な資本として示されます。従って発行企業が現金やそのほかの金融資産を提供する契約上の義務はなく、発行された優先株式の総価値は資本で表示されます。
優先株式は、資本と金融負債の両方となる可能性はありますか。優先株式が償還不可能な場合でも、強制的な配当金が支払われる可能性があります。この状況では、優先株式は金融負債の要素と資本の要素の両方を持つ可能性があります。これは複合的な手段になります。この場合に、金融負債の金額は最初に算出します。FRS102では、金融負債の要素は将来のキャッシュ・フローの現在価値として算出します。こうしたキャッシュ・フローは、資本部分のない同様な負債に対する市場金利によって割り引きます。資本部分は、優先株式の合計価値から金融負債の要素を差し引きます。
また、優先株式を利用して資本の調達を検討する場合には、株式の条件を慎重に検討する必要があります。それによって貸借対照表での表示が変わり、資本の代わりに金融負債を生み出す可能性があるからです。
ジェフ・ジョンソン
パートナー
BDOに9年勤務。英国会計基準(UK GAAP)や国際会計基準(IFRS)、米国会計基準(US GAAP)の豊富な知識を基に、監査と財務会計を専門とする。勅許会計士(ACA)の資格を持つ。