第167回: 英国不動産の国外所有者登記制度に関するアップデート
1年ほど前に、海外事業体による英国の不動産の所有を登録しましたが、毎年登録情報を更新しなければならないと聞きました。
2022年8月1日に海外事業体登録が始まりました。英国の不動産(フリーホールドまたは7年超えのリースホールド)を所有する海外事業体は、カンパニーズハウス(企業登記局)に登録し、その受益所有者または管理担当役員の詳細を届け出ることが法律で義務付けられています。登録が完了すると、カンパニーズハウスは海外事業体ID番号を発行し、この番号がなければ海外事業体は英国内の不動産の売買や譲渡、リース、抵当権設定、担保設定ができません。また、登録に記載されている情報に変更がない場合でも毎年登録情報を見直し、必要に応じて更新する必要があります。
更新報告書の提出方法と期限はどうなっていますか。
2023年8月初めから海外事業体またはその代理人は、年次更新申告書をオンラインで提出できるようになりました。ただし、海外事業体に信託が関与している場合を除きます(この場合は書面での提出が必要)。提出には認証コードが必要で、これはカンパニーズハウスにオンラインで請求すると、事業体の登録メールアドレスに送信されます。更新日の14日後までに提出が必要です。
登録情報の再確認は必要ですか。
初回の登録手続きと同様に、海外事業体は各受益者に対して情報請求をし、情報の確認または訂正を求める必要があります。各受益者は請求通知が届いてから1カ月以内に回答しなければなりません。カンパニーズハウスのガイダンスは、情報に変更があった場合に限り、会計士や弁護士などの認可を受けた専門家による情報の確認を求めています。この確認は、年次更新報告書の日付までの3カ月間に実施しなければなりません。
早めに更新できますか。
年次更新報告書以外でも情報を更新できますが、この手続きは簡単ではありません。事業体は、年次更新報告書の日付を変更するためカンパニーズハウスに文書で申請する必要があります。カンパニーズハウスがこれを受理すれば、更新日が改めて設定され、次回の提出日は新しい更新日から12カ月後となります。
ほかに予定されている変更点はありますか。
現在、英国議会で審議中の「経済犯罪と企業透明性法案」(Economic Crime and Corporate Transparency Bill)では、登録情報の更新を発生ベースで行うようにするため、下記のような更新要件の改正を検討しています。
・以前の情報に変更があった場合、海外事業体は14日以内に登録を更新する必要がある
・海外事業体が保有する英国の不動産の取引日までの14日間に、海外事業体は変更がないことを確認する必要がある
更新報告書を提出しない場合はどうなりますか。
何も変更がない場合でも、年次更新報告書を提出することが法的に義務付けられており、提出しなければ犯罪行為となります。これに違反した場合、海外事業体およびその役員は刑事罰または罰金(最高5万ポンド)を科される可能性があります。海外事業体が更新報告書を期日までに提出しない場合、海外事業体IDは無効となります。年次更新報告書を提出しない場合、カンパニーズハウスはその旨を公文書に追記します。
*この記事は一般的な情報を提供する目的で作成されています。更なる情報をお求めの場合は、別途下記までご相談ください。
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ジョン・フィッシャー
監査・会計 パートナー
Ernst & Young、野村證券を経てグリーンバック・アランへ。会計技術はもちろん、高度なビジネス日本語を操り、日系顧客から大きな信頼を寄せられる。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。