第175回: ECCTA 2023 カンパニーズハウスの新たな権限
2023年経済犯罪および企業透明性法(ECCTA 2023)が制定されたことで、カンパニーズハウスに重要な権限が新たに与えられ、その役割が情報の受け手から能動的なゲートキーパーに変わりました。最初の変更点は2024年3月4日に施行されました。
どのような追加がありますか。
情報を照会する権限の強化、会社名のチェックの強化、登記上の会社住所に関する新たな規則、適切な電子メールアドレスの登録義務、会社が合法的な目的で設立・運営されていることの確認、不正確な情報や誤解を招く情報の抹消や注釈を付す権限、ほかの政府省庁や執行機関とデータを共有する権限などがあります。
かなり広範囲に及びますね。会社役員として注意すべき点は何でしょうか。
使用されていない電子メールや住所を一掃することを目的とした新しい措置があります。会社は、「適切なメールアドレス」を保持することが義務付けられ、その定義は「通常の連絡時に登記官から会社に送られた電子メールが、会社を代表して行動する者の目に留まると想定されること」です。この登録メールアドレスは、公開されている登記簿には掲載されません。同様の要件が登記上の会社住所にも適用されます。会社は、変更後の最初の年次確認書で、その住所が引き続き適切であると宣言しなければなりません。また、私書箱の住所を登記上の会社住所として使用することも禁じられます。ただし、適切な住所の定義に合致していれば、第三者の代理人の住所を引き続き使用できます。
上記のほかに変更点はありますか。
カンパニーズハウスの権限に関する変更の多くは、その詳細が行政法やECCTAに対するそのほかの改正で定められるため、実際にどのように行使、施行されるかは今のところ不明です。こうした法案を作成し、議会に提出するまでには、数カ月かかることもあります。今後の変更点には、以下のようなものがあります。
● 取締役とPSC (People with Significant Control) の本人確認
ECCTAは、詐欺などによるシステムの悪用を防ぐため、カンパニーズハウスへの主要な届け出に、本人確認を組み込みます。これにより、アニメのキャラクターや架空の人物が取締役やPSCとして登記されることを防ぎます
● 法定会計の変更
ECCTAでは、小規模企業の決算書の透明性を高めるための措置が導入されました。これまでは、提出が必要なのは貸借対照表のみでしたが、損益計算書の提出が義務付けられます。また小規模企業は、取締役報告書の提出も義務付けられます。カンパニーズハウスが企業会計で目指しているのは、安全で透明性が高く、デジタル・タグを用いた追跡可能な簡素化された決算書類の提出方法です
● 法人取締役の制限
法人を取締役にすることで混乱しがちな状況を掃討するため予定されているのが、2015年の中小企業法で導入された規程の施行です。この規程では、法人取締役となる企業の取締役全員が自然人で、身元が確認されていない限り、その法人を会社の取締役とすることはできません
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ジョン・フィッシャー
監査・会計 パートナー
Ernst & Young、野村證券を経てグリーンバック・アランへ。会計技術はもちろん、高度なビジネス日本語を操り、日系顧客から大きな信頼を寄せられる。日本語スピーチコンテストでは2年連続入賞。