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Fri, 22 November 2024
イギリス・ロンドンのイベント紹介

男性の同性愛が非犯罪化して50年
性の多様性を称えるエキシビション紹介

LGBTQ今からわずか50年前まで、男性の同性愛は違法だった。イングランド及びウェールズで男性の同性愛が条件付きで非犯罪化されて今年でちょうど50年。英各地の美術館では、LGBTQ*(性的少数者)関連のエキシビションが開催されている。LGBTQの歴史や、様々な性的指向を持つ芸術家たちの作品を通して、性の多様性を見つめ直したい。

*LGBTQとは?

レズビアン(女性の同性愛)、ゲイ(男性の同性愛)、バイセクシャル(両性愛)、トランスジェンダー(身体と心の性が一致していない性の形態)、クィアの頭文字を取った略語。「LGBT」と呼ばれることが多かったが、近年では既存の枠組みに収まらない性的少数者クィアのQも加えて「LGBTQ」とするケースが増えている。ちなみにクィアは「風変わりな」などの意味を持ち、元々は蔑称だったが、この場合は肯定的に使われている。

Queer British Art 1861-1967 @Tate Britain

テート・ブリテンは、「品位にかける淫らな行為」とされた男性の同性愛が違法だったビクトリア時代から、イングランド及びウェールズにおいて条件付きで非犯罪化された1967年までの時期に活躍した性的少数者、「クィア」の画家たちの作品を紹介。

2017年10月1日(日)まで
10:00-18:00
£15
Tate Britain
Millbank, London SW1P 4RG
Tel: 020 7887 8888 
Pimlico駅
www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/queer-british-art-1861-1967

Sappho and Erinna in a Garden at Mytilene

「ミティリーニの庭のサッフォーとエリナ」
Sappho and Erinna in a Garden at Mytilene (1864)
シメオン・ソロモン

同性愛者だったシメオン・ソロモン(1840-1905)は、ユダヤ人の生活や慣習に加え、同性愛指向のもたらす哀しみを作品に投影したラファエル前派の画家。この作品は、古代ギリシャの女流詩人で、女性に向けた愛の詩を多く残したサッフォーと、同じく女流詩人のエリナが、レスボス島のミティリーニで抱擁する構図になっている。

Self-Portrait

「自画像」
Self-Portrait (1913)
ローラ・ナイト

作者のローラ・ナイト(1877-1970)は、女性が美術学校でヌード画の授業に参加することができなかった時代にあって、女性のヌードを描く自身の姿を一枚の絵画に収めた。第二次大戦中には戦争画家として活躍。1929年にデイム(男性の騎士に相当する称号)を与えられ、1936年には女性初のロイヤル・アカデミーの正会員となった。

Drawing of two men kissing

「2人の男性によるキスの素描」
Drawing of two men kissing (1958–73)
キース・ヴォーン

第二次大戦中、非戦闘部隊で仲間の生活を描いたキース・ヴォーン(1912-1977)は、同性愛者としての不安や恐れを率直に綴った日記でも注目を浴びた。自身の性的指向が公になることに怯えつつも本作のような男性の裸体や男性同士の性愛を描く作品を手掛け、日記の一部を1967年の前年に発表。死後には残りの日記も出版された。

Bathing

「水浴び」
Bathing (1911)
ダンカン・グラント

ロンドン中心部ブルームズベリーを拠点にした「ブルームズベリー・グループ」は、自由主義や平和主義を掲げ、同性愛やオープン・マリッジの関係を持つ者も多かった。同性愛者ながら女流画家バネッサ・ベルと娘をもうけたダンカン・グラント(1885-1978)は、本作で男性の裸体の躍動感を表現。一人の人間の連続的な動きを捉えた。

National Portrait Gallery

ナショナル・ポートレート・ギャラリーは、芸術とジェンダー、そしてアイデンティティーの関係を探る複数の小規模展示企画「I am me」を開催。「品位にかける淫らな行為」で有罪となった ビクトリア時代の作家 / 劇作家オスカー・ワイルドとその恋人アルフレッド・ダグラス、通称「ボジー」をマルレーネ・デュマスが描いた肖像画などが展示されている。

Oscar Wilde and Bosie

Marlene Dumas: Oscar Wilde and Bosie

10月30日(月)まで
10:00-18:00(木・金は21:00まで) 
無料
National Portrait Gallery
Room 21, St Martin's Place, London WC2H 0HE
Tel: 020 7306 0055 
Charing Cross駅
www.npg.org.uk

British Museum

大英博物館では、デービッド・ホックニーが20世紀ギリシャの詩人コンスタンディノス・カバフィスの詩にちなんで制作した銅版画が展示。男性同士の恋愛や性生活をシンプルかつ赤裸々に描いたこれらの作品は、1967年に発表された。また、5月11日(木)からは、古代ローマから現代の日本に至るまで、世界中のLGBTQ の歴史を垣間見ることのできるコインやバッジなどの所蔵品が展示される。

David Hockney: fourteen poems from CP Cavafy
5月14日(日)まで / Room 90a

Desire, Love, Identity: exploring LGBTQ histories
5月11日(木)~10月15日(日) / Room 69a

10:00-17:30(金は20:30まで)
無料
British Museum
Great Russell Street, London WC1B 3DG
Tel: 020 7323 8181
Tottenham Court Road / Holborn駅
www.britishmuseum.org

 

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