英軍兵士刺殺事件の被告に終身刑
極右政治団体は絞首台を掲げて抗議活動
2014年2月26日、英軍兵士刺殺事件の判決が言い渡された
ロンドンの中央刑事裁判所前で、英国旗を掲げる抗議者たち
2013年5月にロンドン東部の路上で英軍兵士の男性を大型の刃物で刺殺した2人の被告に対して、ロンドンの中央刑事裁判所は2月26日、終身刑と最低服役期間45年の禁錮刑を言い渡した。BBCなどが報じた。
終身刑が言い渡されたのは、リーダー格とされるマイケル・アデボラージョ被告(29)。同被告は、2013年5月22日午後1時過ぎにロンドン東部ウーリッチ地区の路上を歩いていた英軍兵士リー・リグビーさん(享年25)を車ではねた上で刺殺した直後に、犯行に使った2本の刃物を持ったままの状態で通行人が向けたカメラに向かって犯行声明を発表するなどの行為に及んだ。また共犯者であるマイケル・アデボワール被告(22)には、最低服役期間が45年の禁錮刑が言い渡された。
両被告は裁判長が判決を読み上げようとした際に叫び声を上げ、警備員との揉み合いに発展。裁判は両被告を裁判所から退出させた上で続行した。
英国人であり、イスラム教への改宗者でもある両被告は、自らの犯行について、英軍のアフガニスタン駐留に対する報復措置であると説明。公判中にはイスラム教の聖典であるコーランに口づけをするなどの行動を見せていた。
同日には、英国国民党やイングランド防衛同盟などの極右政治団体のメンバーがロンドンの中央刑事裁判所前に集合。絞首台を模したものや死刑宣告を要望するプラカードを掲げるなどの抗議活動を行った。
数字で見る英国におけるイスラム教と過激派
英国に在住するイスラム教徒 270万人
英国内に存在するモスクの数 1100~1500
イスラム教過激派によって殺害された英国在住者 53人
英兵刺殺事件発生後約1週間で事件化した反イスラム運動 212件
Sources: Daily Telegraph(データは2013年時点のもの)