「休んじゃえば?」って言うのは簡単ですが……。
吉野山の金峯山寺(きんぷせんじ)の修行で、最も過酷な行の一つに「千日回峰行」というのがあります。48キロの山道を16時間で登って帰ってくるということを1000日行うのです。いったん始めたら途中で絶対に止めることはできない掟で、骨を折ろうが高熱が出ようが、止めるときは携帯している短刀で腹を切るという、命がけの修行だそうです。1300年の歴史の中で、達成したのはわずか2人、そのうちの1人の方がこのようなことを言ってました。「千日のうち、完全に体の調子が良かったのは、最初の一日だけ」。ですから、残りの999日は、筋肉痛だったり、怪我してたり、風邪気味だったりと、決して万全とは言えない状態で修行していたということです。この話が何を意味してるかと言うと、「体調が完璧で、精神的にも晴れ晴れしてる日なんて、そんなにあるもんではない。だから、だましだまし根気よく歩んでいかねば」ということだと思うんです。もちろん限界だと感じたら休んでくださいよ。しかしながら、何かを続けていくということはそんなに容易ではなく、それなりの代償を払ったり、犠牲がつきまとうということを、肝に銘じておかなければならないのかもしれません。
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