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Thu, 25 February 2021

第3回 Kings Langley - Berkhamsted - Leighton Buggard
歩いてナロー・ボートを追い抜く

23 September 2010 vol.1268

カヌー旅行の航路 - Kings Langley - Berkhamsted - Leighton Buggard

クリケットを観戦しながら昼寝

6月27日。昨晩に設置したテントの位置は、大正解だった。そのことは後で書くとして、今日は閘室(こうしつ)内に愛艇を浮かべた後に、上流側の扉を開くのに苦戦した。昨日は18カ所ものロック(閘門-こうもん)を相手にしたから、腰が参ってしまったようだ。無理してぎっくり腰が再発してはいけない。BWW(英国運河局)で7.5ポンドで買ってきたウィンダラス(ロックの開閉に使う道具)だが、しばらく休んでいてくれ。艇を引き揚げ、扉の上流側に運んで漕ぎ出した。今日のコースには、ほぼ1キロ毎、11キロ間にまた18カ所ものロックが点在している。漕いで、担ぎ上げて歩いて、担ぎ下ろしてまた漕いでを繰り返していった方が良さそうだ。

ここで、カヌー・カートが大活躍をしてくれた。カヌー・カートとは、カヌーを運ぶための車輪である。負け惜しみだが、歩いていくと景色がよく見えて良い。トゥパス(側道)は自転車が疾走していける程に整備されているから、カートは軽々と自走して、先行していくナロー・ボートも追い抜いていった。

昼食は折よく見付けたカフェで食べることにした。日本ではこれが昼飯かよ、と思うほどの甘いケーキだが、郷に入っては郷、体が勝手に選ぶから不思議なものだ。この後は公園の広場でクリケットの試合を観ながら横になった。ルールはさっぱり分からなかったが、木陰を吹き抜けていく風が心地良く、うとうとと時が過ぎた。

ロックを開くための「バランス・ビーム」 写真:吉岡嶺二
左側の婦人が腰で押しているのが、ロックを開くための
「バランス・ビーム」。なかなかの重労働だ
写真: 吉岡 嶺二

青年たちがくれたご馳走

本日は、パブが密集している地区にある中華料理店「紅宮殿」をゴールとした。多目に注文して、残りは明日用に持ち帰るというケチケチ作戦だ。日本一周旅行ではキャンプでの自炊を続けてきたが、欧州縦断旅からは止めてしまった。夜はレストランだ。朝昼食用やレストランが見付からない場合に備えて、クラッカー、チーズ、トマト、オレンジなど、日持ちするものも数食分持っている。それだっておいしい。食事は、カヌー旅の最大の楽しみなのである。今日は食いものの話ばかりだが、後回しにした昨晩のことも書いておこう。

晩飯を済ませてから戻ったテントに、2人の青年が訪ねてきた。手にした大皿には盛り沢山の食べ物が載っている。おかげで、何とも贅沢なイングリッシュ・ブレックファストをありがたく頂戴した。空いた大皿の上に、お礼の手紙と日本から持ってきた折り紙の鶴2羽を載せて、2人が河を渡ってきた辺り、バランス・ビームの脇の目立つ所に置いてきた。青年たちの手に届いただろうか。

地下水を汲み上げているらしい

6月28日、分水嶺を越えた。と言っても、この日の朝に出発してから2、3キロ程歩いて行き着いたロックで、水位が変わって下り階段になっていることに気が付いたのである。その先は下り坂、一気に行きたいのだが、全く変わりない平坦な静水、日本の河の様に激流下りというわけにはいかない。

特筆すべきは、特別な施設を見るなどしてその全容を把握したというわけではないのだが、ロック越えのボートを上下させるのに大量の水が必要になるため、この辺りでは地下水をポンプ・アップして、ロックに注水する水を確保しているのだということ。隠れた苦労を知ることができた。


 
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吉岡 嶺二(よしおか・れいじ)
1938年に旧満州ハルビンに生まれる。早稲田大学卒業後、大日本印刷入社。会社員時代に、週末や夏休みを利用して、カヌーでの日本一周を始める。定年後は、カナダやフランス、オランダといった欧州でのカヌー旅行を行っている。神奈川県在住。72歳。
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