Nowhere Boy(2009 / 英)
ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ
若かりし日のジョン・レノンの姿を捉えた伝記映画。実母ジュリアと、育ての親である叔母ミミとの関係を中心に描く。
監督 | Sam Taylor-Wood |
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出演 | Aaron Johnson, Kristin Scott Thomas, Anne-Marie Duffほか |
ロケ地 | E. Pellicci |
アクセス | 地下鉄Bethnal Green駅から徒歩 |
- 12月8日はジョン・レノンの命日です。生きていれば今年で70歳だったんですねえ。
- あの日からもう30年経つのか……。ふと気付けば、自分はもう生前のジョンより長生きしてるんだから驚くわい。
- ああ、そういうのはハッとさせられますよね。僕も27歳になったとき、尾崎豊より年上になってしまったと思いましたもん。
- はい、というわけで、今週はジョン・レノンの伝記映画を捜査しました。90年代初頭から主にファイン・アート・フォトグラフィーの世界で活躍していた女性アーティスト、サム・テイラー=ウッドが初めて長編映画の監督に挑戦した作品で、2009年のロンドン映画祭で初公開され、日本では現在、ロードショー公開中ですね。
- そもそもサム・テイラー=ウッドは、1980年、ジョン・レノンが暗殺される数時間前に、写真家アニー・リーボビッツによって撮影されたヨーコ・オノとの写真「December 1980」のリメイクのような作品を、1993年に制作してるんだったよな。
- ジーンズ姿で床に横たわるヨーコに、全裸のレノンが絡みつくように寄り添っている写真ですね。サム・テイラー=ウッドがヨーコ、そして当時、彼女のボーイフレンドだった映像作家のヘンリー・ボンドがレノンに扮したこの作品、タイトルはズバリ「October 26, 1993」です。
- ジョン・レノンはテイラー=ウッド監督にとって、アイコン的な存在なのかもしれませんよね。だって今回の映画でも、いやはやビックリ、ジョン・レノンに扮した19歳のアーロン・ジョンソンのハートを公私ともども見事に射止めて、23歳という歳の差をもろともせず、結婚しちゃったんですから。今年の7月には2人の間に娘も誕生しています。監督には前夫との間に2人の娘がいて、上の子は13歳と、アーロンにしてみたらこっちの方が歳が近いという。
- 聞いた話によると、オーディションでアーロンを一目見て「彼しかいない!」ってピンときたんだって言うじゃないか。
- 正直、僕は、アーロン・ジョンソンはカッコよすぎて、どうしてもジョン・レノンに見えなかったですけど。完全に監督の趣味じゃないでしょうか。ちなみに劇中のポール・マッカートニーも「え? この人? イメージ違う!」って思いました。
- でも若い頃のジョン・レノンは、案外あんな感じだったような気もするけどな。マッカートニーは……うーん(笑)。
- ところで肝心なロケ地ですが、主にミドルセックス州のPinner、ランカシャー州のBlackpoolなどで撮影されていますね。例えば、1950年代のリバプールの街並みは、PinnerのWoodhall Gateというストリートで再現されています。また、Blackpoolの埠頭のシーンは、そのまま現地のNorth Pierが使われているようですね。
- 意外とロンドン内のロケ地も多いんじゃなかったっけ。叔父さんのお墓は「St. Pancras & Islington Cemetery」だろ?
- そうなんです。ほかにも終盤、実母のジュリアと叔母のミミがカフェで対面するシーンは、イースト・ロンドン、Bethnal Green Road 332番地にある「E. Pellicci」という創業110年の老舗カフェです。また、ジョンがミミに付き添われて初めてギターを買いに行く店は、スピタルフィールズ・マーケット近く、Hanbury Street 22番地にある小さなウクレレ & ギター・ショップ「Duke of Uke」です。どちらも懐かしい下町風の雰囲気を出していて、いい感じですね。
レノン自身の伝記映画というより、彼の「2人の母」についての物語という要素が強かった気がするね。やっぱり男はみんなマザコンだなっていう。ミミ役のクリスティン・スコット・トーマスは好きな女優なんだよね。しかしジョン・レノンぐらいになると、人生のうちで1本の映画にできるような局面が何度もありそうだよな。他の時代のジョン・レノンも映画で観たいよね。
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