ゲーテやシラーの古典からグリム童話まで、原文で手軽に読めたら…、なんて考えている世界中のドイツ文学愛好者および研究者に朗報。ネット検索エンジン最大手グーグルの蔵書デジタル化プロジェクト「Google
book search」にこのほど、ミュンヘンのバイエルン州立図書館が名乗りを上げたのだ。
グーグルが2004年から進めているこのプロジェクトは、世界各国の図書館の蔵書をスキャンしてデジタル文書化し、ネット上で本の抜粋もしくは全文を閲覧できるようにするという構想。これまでに参画を決めている11の図書館には、米カリフォルニア大学(UC)や英オックスフォード大学の図書館、ニューヨーク公立図書館など有名どころが顔をそろえる。そこに今回、ドイツ語圏では初めてバイエルン州立図書館が加わる形となった。
同図書館のあるミュンヘンといえば先頃、2つの大学が国内の「エリート大学」に格付けされたところ。そこにきての今回のプロジェクト参加は、「アカデミックな町」としてのミュンヘンのイメージ躍進に一役買いそうだ。
デジタル化が予定される蔵書は100万冊以上。中には同図書館内でも閲覧条件が厳しい、希少価値の高い本もあるという。しかしデジタル化によって、1558年創立の伝統ある同図書館が誇る貴重な財産の約9分の1相当が、マウスのクリック一つで世界中のどこからでもアクセス可能となる。
ただグーグルの同プロジェクト、立ち上げからこれまでまったくスムーズに来たわけでもない。同社は著作権切れの書籍はもとより、著作権により保護されている作品についても、同権保有者の承諾の有無に関わらず、本の情報や本文の一部抜粋などをデジタル化する方針を取っているため、同じく書籍のデジタル化を進める競合マイクロソフトほか、出版社や米作家協会などから著作権侵害を訴える声が続出。一時はスキャン作業の中断に追い込まれる事態にも陥った。ちなみに今回デジタル化される州立図書館の蔵書はすべて、著作権がすでに消滅したものだという。
同問題をめぐってはしばらく熱い議論が交わされそうな様相だ。
「Die Welt」紙
Eine Million Muenchner Buecher fuer Google
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