環境・持続的開発相のジャン・ルイ・
ボルロー氏
サルコジ大統領はスピーチで、農業、原子力、税制改革などについて説明。特に注目が集まっている農業については、4年以内に最も有害とされる約50種の殺虫剤を禁止すること、また、現在流布している殺虫剤の使用を半減させることなどを発表した。ボルロー環境・持続的開発相は、殺虫剤の使用量半減について「できるだけ早いうちに」と述べるにとどまったが、あくまで強気の大統領は「できれば10年以内に実現させたい」とタイムリミットを明示。現在、全農地面積の2%で行われている有機農業についても、10年までには6%、12年までは20%までに増やす目標を掲げるなど、具体的な数字を挙げた。
ところで、有機農業はフランスでは「持続可能な農業」としてひとくくりに扱われることも多いが、実はその農法によって細かく分類されている。殺虫剤などの化学物質を一切使用しない農法もあれば、減農薬で有機肥料を取り入れる農法、また、無肥料、無耕作、無除草を通す農法もあり、どの方法をとるかは農家の事情により千差万別だ。土地の質、耕作している農作物の種類などによって収穫高が大幅に変わってくるため、有機農法を実践する各農家は、それぞれの目指す目標に向かって日夜試行錯誤を重ねている。
しかし、ここでふと心配になるのが経済上の問題。サルコジ大統領が目標に掲げるように農地面積の20%を有機栽培に割り当てるためには、作物や土壌の研究を進め、農家が収支のバランスをとれるようにするのが必須であるが、そのための研究は誰がするのだろうか。また、有機農業の促進のために300万ユーロ(約50億円)の財政資金を注入すると発表されたが、その資金はいったいどう工面するのだろう。大統領選挙戦も今は昔、勇ましく公約を掲げているだけで国民が喜んでいた時期はもう終わり。今回掲げた一連の「環境ニュー・ディール政策」が成功するかどうかは、今後の大統領の支持率を左右するキー・ポイントになるかもしれない。
「Liberation」紙 "Sarkozy fait son show ecolo"
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