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英国ニュース解説

最終更新日:2012年9月26日

ブリティッシュ・ガスなど大手が発表 - 電気・ガス料金が軒並み値上げ

ブリティッシュ・ガスなど大手が発表
電気・ガス料金が軒並み値上げ

食料品やガソリン代の値上げなど、昨今の物価高は誰にとっても頭の痛い問題であるが、これに加え、電気・ガス料金についても最近、大手各社から次々と値上げが発表されている。「燃料貧困」の状態にある家庭の更なる増加も懸念されており、光熱費の高騰は、人々の大きな関心事となっている。

最近の電気・ガス料金の値上げ

最近の電気・ガス料金
Source: BBC


イングランドで「燃料貧困」の状態にある世帯数

「燃料貧困」の状態にある世帯数
Souce: English Housing Survey (DCLG), The Poverty Site


光熱費比較サイト

光熱費比較サイト

光熱費比較サイト
uSwitch」(上)「TheEnergyShop」(下)


5分の1の世帯が「燃料貧困」

最近、電気・ガス会社による料金の値上げの発表が相次いでいる。今年6月には、エネルギー大手スコティッシュ・パワーが、8月1日よりガス料金を19%、電気料金を10%引き上げることを明らかにした。同社で電気とガスの両方を利用している顧客の利用料金は、平均で1日48ペンス(約62円)も引き上げられることになる。また、7月には、ブリティッシュ・ガスとスコティッシュ・アンド・サウザン・エナジーがやはり値上げを発表。ブリティッシュ・ガスは、8月18日より、ガス料金を18%、電気料金を16%値上げする。ブリティッシュ・ガスは、昨年12月にも、ガス料金を6.9%、電気料金を6.7%引き上げたばかりであり、度重なる値上げに利用者からは怒りの声が上がっている。また、スコティッシュ・アンド・サウザン・エナジーは、9月14日より、ガス料金を18%、電気料金を11%、引き上げる。3社はいずれも、値上げの理由に、卸売価格の上昇を挙げている。

このように光熱費値上げの発表が続く中、英国では今後更に、「燃料貧困(fuel poverty)」の状態にある家庭が増えることが懸念されている。英国では、家の暖房、お湯の使用などに掛かる支出が、所得の10%以上を占めている場合、「燃料貧困」の状態にあると定義される。エネルギー・気候変動省が7月中旬に発表したところによると、2009年に「燃料貧困」の状態にあった世帯は、前年比で100万世帯増加して、550万世帯に上った。これは、英国の全世帯数の実に5分の1に当たる。同省は、今年末までに、イングランドだけでも更に10万世帯が「燃料貧困」の状態に陥ると予測している。

利用が勧められる光熱費比較サイト

折からの物価高で既に家計が圧迫されている中での光熱費の値上がりは、どの家庭にとっても喜ばしくないニュースであるが、今以上に光熱費が家計の負担となることを避けるため、消費者が取れる手段として勧められているのは、光熱費の比較サイトを使った電気・ガス会社の変更である。こうしたウェブサイトには、「uSwitch(www.uswitch.com)」、「TheEnergyShop.com(www.theenergyshop.com)」などがある。これらのサイトでは、現在使用している電気・ガス会社、利用料金、郵便番号などを入力すると、今よりも安い他社のプランが表示され、更に、画面上でそれらの電気・ガス会社への変更手続きが行えるようになっている。

ガス料金は5年間で122%増

電気・ガスの小売業界は、冒頭で挙げた3社を含む「ビック・シックス」と呼ばれる6社が市場の大半を独占している状況にある。そして、残る3社(エヌ・パワー、イー・オン、EDFエナジー)も、ブリティッシュ・ガスなどに続いて、近く値上げを発表すると予測されている。

エネルギー・気候変動省によると、2004年から2009年までの間で、英国のガス料金は約122%、電気料金は約75%も値上がりした。こうした数字を見ても、来年、再来年、その翌年と更に電気・ガス料金の値上げが続いていくであろうことは簡単に予測し得ることであり、消費者は、臨機応変に対応するのに越したことはないだろう。

Green Deal

政府が来年から実施を予定している、一般家庭、企業などのエネルギー消費量削減と光熱費節減を目的としたプログラム。その内容は、政府から許可された民間企業が、一般の家屋、事業所などに、断熱材を入れる、ソーラー・パネルや省エネ型ボイラーを取り付けるなどのエネルギー効率性改善を目的とした工事を行う。利用者は、工事費を前払いする必要はなく、工事終了後、分割払いで支払う。支払額は、電気代、ガス代の料金に加算される。これら工事によって、電気・ガスの使用量が減り、光熱費が下がるため、工事費の分割支払額を加算されても利用者の負担にならないという構想。
 

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