平井 明子さん
Akiko Hirai
Ceramic Artist / Potter
- 肩書き
- 陶芸家
- 経歴
- 静岡県出身。愛知学院大学文学部卒業。ウェストミンスター大学からセントラル・セント・マーティンズ美術大学セラミック・デザイン科へ編入・卒業。2003年から、ロンドン北部ストーク・ニューイントンのアート・スタジオ「チョコレート・ファクトリー」に参加。04年から15年までロンドンのケンジントン & チェルシー・カレッジでセラミック・コースを教える。16年にはロンドンのコンテンポラリー・セラミック・センターで個展「gete-mono」開催。
www.akikohiraiceramics.com
住む環境が作品に
自然と反映される
陶芸に興味を持たれたのはいつですか。英国で陶芸家になった経緯をお聞かせください。
日本にいた当時は、陶器、磁器を見たり買ったりすることは好きでしたが、語学留学でイギリスにたまたま来て、こちらの陶芸家の方たちと会ったことが陶芸を始めるきっかけとなりました。来英当初は陶芸を仕事にするとは夢にも思っていませんでした。
作陶で活躍されているにも関わらず、最近まで陶芸コースで教職にも就いておられました。
工房にこもっていると人と会う機会がなくなりがちなので、生徒さんたちとの交流は楽しかったです。ここ3、4年の間に両方の仕事の量が急に増えたので、どちらかを選ばざるをえない状況になり、制作に専念することにしました。残念ですが、今は作ることに集中できるので結局は良かったです。
昨年11月にロンドン中心部のコンテンポラリー・セラミック・センターで開催された個展では、日本の「ゲテモノ」を主題にされていました。陶芸の下手物(精密な高級品の上手物に対する語)という意味に加え、グロテスクな「ゲテモノ」の意味があるということですが。
私の作品はよく「オーガニック」と表現されることが多いのですが、自分の中では少し違っているような感じがしていたので、今回はぴったりと当てはまる言葉が見つかったと喜んでいます。尊敬する作家・夢野久作氏は視覚に訴える言葉の使い方が絶妙で、私も夢野風に展示会を作ってみました。ゲテモノ、特にカタカナで書いたゲテモノはぴったりだと感じています。
陶芸の盛んなコーンウォールや日本ではなく、今後もロンドンを拠点に作陶を続けていかれますか。
「イブニング・スタンダード」紙によると、ロンドンには270以上の国籍の人が住んでいるそうです。私が以前教えていた学校も1クラス13人という中で、生徒の国籍が8、9カ国に及ぶことも稀ではありませんでした。私はロンドンのそういったマルチ・カルチュラルなところが大好きですし、自分の住んでいる環境は作品にも自然と反映されると思います。なので、当座はほかの土地に移る気はありません。ちなみに商業的には日本との繋がりがないので、日本で始めるとしたら一からやり直しということになります。
今年のご予定をお聞かせください。
今年、来年と2カ月に1度はエキシビションの予定が入っています。2月初めのサーチ・ギャラリーでのアート・フェア「Collect」、エディンバラのスコティッシュ・ギャラリーでの個展を始め、今年は米国、スイスなど海外の展示会のお誘いも受けたので、昨年以上に忙しい年になりそうです。
アート・フェア紹介
Collect: The International Art Fair
Contemporary Objects
クラフツ・カウンシル主催の国際アート・フェア。世界中から集まった30を超えるギャラリーが、自慢の所蔵作品を販売する。平井さんの作品はフェア内のFlow Galleryエリアで観ることができる。
2月2日(木)~6日(月)
Saatchi Gallery
Duke of York's HQ, King's Road,
London SW3 4RY
www.craftscouncil.org.uk/what-we-do/collect
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