最終回 水の上を転がるおじさん
チャールズ・ジョーンズCharles Jones
Bizit Air Products 社長
www.bizitairproducts.com
1958年生まれ、51歳
米国、オクラホマ出身 / イタリア、ミラノ在住
2007年3月、ロンドンのハイド・パークにある池で、球体の中に入って水面を歩くことが出来るという「ウォーター・ボール」をお披露目したチャールズさん。しかし材料に使用したビニールが破れてしまい、溺れかけてしまった。
最近ではビーチ・グッズとしても人気を集めるウォーター・ボール
ウォーター・ボールの製作にどのように関わっていますか。
デザインから工場への発注、そして実際に出来上がった製品の中に入って実験するところまで、自分が担当しているよ。
ウォーター・ボールを完成させるまでに、どれほどの時間を費やしましたか。
1998年から作り出したんだけど、試作品を8個作るのに大体8カ月ぐらいかかった。その後、数十点にわたる調整を加えてね。完璧なものが出来るまでには、2年間の歳月と、結構たくさんのお金がかかったね。
でも今では、世界30カ国で売られるようになったんだよ。最近では米国の海軍から注文があったし。彼らが一体何に使うかまでは、教えてもらえなかったけど。
今はビジネスも順調みたいですね。
最初は自分の楽しみのためだけに作ったんだけど、誕生日会なんかで披露すると、皆が興味を示してくれてね。だから、インターネットでの販売を始めたんだ。でも興味本位で問い合わせしてくる人はいても、買ってくれる人はなかなかいなかったよ。実際に売れるようになるまでには、ものすごく長い時間がかかったんだ。
このビジネスを始めた時、家族や友人に心配されませんでしたか。
まあ、彼らは僕が変だということを十分に分かっているからね。「クレイジー」と呼ばれることには慣れているさ。
以前はどんな仕事をしていたのですか。
子供の頃から手品が好きだったから、12歳頃から人前で手品のパフォーマンスをしたり、風船で犬を作ったりしていた。色んなトリックも自分で考案したな。パフォーマンスのために、インドのタージ・マハルや日本の遊園地、スイスへも出掛けたよ。1985年にイタリアのテレビ番組にピエロとして出演しないかと言う話をもらって、それからイタリアで生活するようになった。今でもたまにショーに出たり、ピエロの恰好をしてパーティーに参加したりするよ。
ウォーター・ボールを購入するのはどんな人たちなのですか。
とりわけシアター関係者。セラピーに使えるんじゃないかと考えて、色々と実験している人もフランスにいるみたいだよ。私たち発明家は、そういう風にしてお互いに刺激しあっているんだな。それから、「日本ウォーターウォーク協会」なんていうのもあるんだよ。知っている?
そんな団体まで存在するんですか。
この前、日本に行ったときにそのメンバーに会ったんだけど、彼らはウォーター・ボールを使って琵琶湖の水面を歩いたって言っていたな。しかもボールの中でジャグリングをしている姿も見せてくれてね。いやあ、すごかったよ。
(取材・執筆: 西山藍、三井果苗)
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