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Sat, 21 December 2024

今すぐ英国を撮りに行こう
英国での思い出をより美しく残すための、ちょっとしたコツをご紹介します。

第8回 人物写真の印象を変える
~シャッター・スピードと絞りの関係 (2)

「シャッター・スピード」と「絞り」は非常に密接な関係にあり、どのような撮影状況でも必ず一定量が必要とされる「光」と共に、よく「水道の蛇口とバケツ」に例えられます。

必要な光の量をバケツ一杯の水としてみましょう。水道の蛇口が大きく開いていると、勢いのある水はバケツにすぐに溜まります。逆に蛇口が小さく閉められていると、バケツはゆっくり満たされていきます。この蛇口の開き加減が「絞り」、バケツが水でいっぱいになるまでの時間が、「シャッター・スピード」に当てはまるのです。

このように両者は、常に均衡を保ちながら影響し合っており、絞りが大きく開いた状態ならシャッター・スピードは速くなり、反対に絞りが閉じた状態ではシャッター・スピードは遅くなります(シャッター・スピードができあがりの写真にどう影響するかは、前回を参照)。絞りはf値という値で表され、レンズとボディー(本体)の接続部に程近いレンズ側面(第1回目を参照)に、f2.8、4、5.6、8……といった数字で示されています(デジタル・カメラでは液晶部分やファインダーの画面上に表示される機種も多い)。そして絞りが絞られるほど、この数字は大きくなり、ピントの合う範囲(奥行き)も広がっていきます。

今回の撮影は、絞りに重点を置いてみました。写真1と写真2を比べてみましょう。全く同じアングルで撮影していますが、f値を大幅に変えています。写真1ではf値を小さくし、ピントの合う範囲を狭くしました。背景は場所の特定ができないほどぼやけています。写真2では、f値を大きくしました。結果、被写体から背景に至るまではっきりと写っています。


(写真1) 絞りf2.8/シャッター・スピード1/800秒
ポートレイト撮影でよく使用される技法。ピントの合う幅を浅くすることで、人物の表情が際立ってくる


(写真2) 絞りf32/シャッター・スピード1/8秒
写真1に比べ、背景のディテールがはっきりと見えている


 

前川 紀子: 滋賀県出身、1998年よりフリーランスに。以後フード専門カメラマンとして食の専門誌やレシピ本を中心に仕事をする。2007年に渡英、08年よりロンドン在住。
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