ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Sun, 24 November 2024

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして20年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


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真夏に革ジャン&ブーツ!?

真夏に革ジャン&ブーツ!?

今年の英国の夏は、例年以上に暑かったという人が多かったかと思いますが、皆さんはいかがお過ごしでしたか?

以前、このコラムの「半裸の英国紳士たち」で、英国では気温20度を超えると、半裸の男性が公園や広場に多勢現れるとご紹介しました。この夏もたくさんの半裸男性(わが家の男性陣を含む)を目撃しましたが、一方で、全く正反対の人を見かけることもありました。

私の住む英西部ブリストルの中心地には、芝生が一面に広がるカレッジ・グリーンという場所があるのですが、そこで見たのは、革ジャンにセーターを着た男性。私と同世代くらいに思える少々白髪混じりの短髪が似合う人でした。その日は気温26度くらい。日本でなら「こんな暑いのに革ジャンだなんてありえない!」と言われそうですが、こんな風景にも慣れっこの私。19年の英国暮らしで、着るものについての常識もすっかり変わってしまいました。

とはいえ、初めて季節はずれの格好(初夏なのにセーターの上にウールのコート、毛糸の帽子)をした人を見たときの私の反応は「この時期にあんな格好して恥ずかしくないのかな?」というもの。日本でならちょうど衣替えの時期にあたるころだったこともあり、英国暮らし初心者の私は、思いきり日本人目線で英国の人々を見ていたのです。「ここでは真夏にセーターを着ていたり、真冬にタンクトップの人もいるよ。そのうちきっと真美ちゃんも気にしなくなると思う」。語学学校で知り合った、私より数カ月先にロンドンに住み始めた日本人の友人Yさんの言葉通り、私はまもなく「季節に関係なく、自分の着たい服を着たいときに着る」という英国の人々の様子に慣れていました。

季節はずれ(と思える)服を着るだけではありません。英国では、70~80代の女性でも胸元の開いたサマードレスを着ている人もいれば、太もも丸出しの短パンを履く人がいます。誰もが皆、人目を気にせずに好きな格好をするのです。テレビのプレゼンターでも、胸の谷間が見える服を身に着けている女性をよく見ますが、それに対して批判があるようには思えません。

渡英してすぐのころ、ファッション・モデルのケイト・モスの妊婦姿が報道されていました。当時はやりのヘソだしルックで、大きくせり出したお腹が見えるトップスを着ているのを見て「『日本で妊婦がこんな格好していたら、お腹を冷やしてはダメ』と大変な批判を浴びるに違いない」と下宿の大家さんに言ったときの返事は今もよく覚えています。

「人がどんな服を着ていようと、それに口出しをすることのほうが失礼だと思われるのよ、この国では」。

 
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マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。音声メディアVoicyパーソナリティー。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して
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