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Tue, 24 December 2024

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして20年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


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11月にはヒゲを伸ばそう!

Movember 11月にはヒゲを伸ばそう!

11月1日に、同じ合気道の道場に通っている友人のジムが、珍しくフェイスブックに投稿をしていました。それも自分の顔のドアップで。何事だろうと投稿内容を読んでみると、「一緒にモベンバーに参加しませんか?」という呼び掛けでした。

それで思い出したのが、毎年11月には「モベンバー」と呼ばれるチャリティー活動が行われることでした。このモベンバーというのは、Moustache(Mo:口ひげ)とNovember(11月)を組み合わせた造語です。男性の健康問題への意識を高め、資金を集めるための国際的なムーブメントとして広く知られるチャリティーで、男性に影響を与える3大健康問題といわれる、メンタルヘルス、自殺予防そして前立腺がん、精巣がんに関して人々を啓発し、集まった資金を男性たちへのサポートに利用しています。

元々は2003年にオーストラリアのメルボルンに住むトラヴィス・ガローンとルーク・スラッテリーという2人の男性が始めたもので、ファッションのトレンドから姿を消してしまっていた口ひげを復活させようという軽い気持ちから始まったといいます。2人がアイデアを話し合うなかで、乳がんのために募金活動をしていた友人の母親に触発されて、この活動を男性の健康と前立腺がんについてのキャンペーンにすることに決めました。そして、10ドルの参加費でこの活動に参加しないかと声をかけ、30人が第1回のモベンバーに参加しました。


このように、モベンバー自体は英国発祥のチャリティーではありません。とはいえ、このコラムの第17回「日常にあふれるチャリティー」でご紹介したように、英国では人々は普段から当たり前のようにさまざまなチャリティーに参加していて、モベンバーはそのなかでも認知度の高い、参加者も多い活動の一つです。

モベンバーのルールは簡単で、参加者は11月1日にひげを剃り、1カ月の間、口ひげを伸ばすというものです。ジムがフェイスブックに載せていた顔写真は、ひげを剃りたての顔だったということで、1カ月後にはひげの伸びた写真を投稿するとのこと。ジムの投稿写真で私がモベンバーを思い出したように、モベンバーに参加する人たちのこうした行動が、周囲の人々との会話のきっかけを作り、男性の健康問題についての啓蒙、募金活動につながっていくのです。

ひげを伸ばせない事情のある方や女性は、自分独自の「チャレンジ」を設定して募金活動を行うこともできます。もちろん、モベンバー中の友人に寄付をするのが最も簡単にチャリティー参加できる方法です。さて、あなたはこの11月中、モベンバーしますか?

 


マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。音声メディアVoicyパーソナリティー。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して
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