#01 エリザベス女王御用達のバッグ
ロウナーのトラヴィアータ
Launer / Traviata
Icing Pink / Lilac £1,900
https://launer.com
暖色から寒色まで鮮やかなドレスを難なく着こなすエリザベス女王。華やかな服装に目が向きがちだが、その佇まいを上品に引き立てるバッグの存在を思い描ける人は、意外と少ないのではないだろうか。
女王の活躍を陰で支えるアイテム、それは「ロウナー」(Launer)社が製作するレザーのハンドバッグだ。このバッグは、旧チェコスロヴァキア出身のサム・ロウナー氏が1940年代にロンドンのソーホーで作り始めたもの。時代は第二次大戦の最中、潤沢とは言い難い物資の中から、上質なレザーを手に入れ最高のバッグを作ることが、ロウナー氏の職人としてのプライドだった。そのクラフトマンシップが王室の目に留まるのにそう時間はかからず、1960年代に王室御用達のハンドバッグに認定された。
現在のロウナーのバッグは女王の一部、と言っても過言ではない。状況に応じて色や形を使い分けており、一説には200を超える同社の製品を持っていると言われるマニアの中のマニア。なかでも椿姫と名が付けられたカーフ・レザー製の「トラヴィアータ」モデルがお気に入りで、人前でもさっと口紅を塗り直すのに使える付属の手鏡を重宝しているらしい。
更に女王はこのバッグでお付きの者と会話もできるというのだから驚きだ。例えば食事の席でバッグをテーブルの上に置くと、「会をお開きにしたい」、床に置くと「会話が続かないから助けてほしい」などの合図になっているという。こんなにもエレガントで機能性を兼ね備えたハンドバッグは、英国中を探しても簡単には見つからないだろう。
女王のトラヴィアータは持ち手が少し長めの特別仕様になっている
4 January 2019 vol.1522