#17 日傘にもなる丈夫な折り畳み傘
エリザベス女王が使うドーム型の透明な傘「バードケージ・アンブレラ」をご存知だろうか。鳥かごのように優雅なカーブを描いたフォルム、露先近くに走るビビッドなラインが、女王のファッションにも難なく調和する傘。王室にも認められたこのバードケージを筆頭に、日常使いからハイキング用まで、多種多様な商品を製作するのは、老舗の傘メーカー、フルトン・アンブレラズだ。
第二次世界大戦後、英国でエンジニアとして働いていたポーランド出身のアーノルド・フルトンは、自分のビジネスを立ち上げることを夢見ていた。そんなとき、妹のソーニャから傘作りの話を持ちかけられる。ソーニャの夫はスウェーデンで傘工場を経営していた。アーノルドは1956年の夏、ノウハウを学びに妹夫婦の元に約1カ月滞在。帰国後、アーノルドは傘の耐風性を高めるため、生地を支える親骨を従来の8本から10本に増やし、サビ防止のためにニッケル素材を使うなど、それまでになかったフレームのデザインに心血を注いだ。傘はロンドン東部ホワイトチャペルの小さな工場で製造され、同年にフルトン・アンブレラズとしてスタートを切る。以来、英国の悪天候に負けない長持ちする傘を作る、という理念は今日まで引き継がれており、新素材や形状の開発に日々勤しみながら、現在も真心を込めて手作業で組み立てられている。
今回紹介するのは、紳士用の晴雨兼用折り畳み傘だ。重厚感のあるハンドルは、折り畳み傘ながら上質な印象を与えてくれる。また、欧州では珍しいUPF30+で、有害な紫外線をカットしてくれる優れもの。同社のモットーである「Brighten up your day」(1日を明るく)を体現したような商品だ。
閉じたときの長さは31cm、重さは約480g。ワンタッチで開閉できる
19 November 2020 vol.1567