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Sun, 22 December 2024

ロンドン・ジャズ・フェスティバル

今年も毎年恒例のロンドン・ジャズ・フェスティバルが開催される。
ロンドン各地の会場で多数の一流ミュージシャンたちが10日間にわたり演奏を披露するこのイベントは、今までジャズにあまり馴染みがなかったという人でも気軽に本物のジャズに触れることができる希少な機会だ。
そこで、ジャズ初心者向けのアドバイス付きで今年のフェスティバルにおける注目のラインナップを紹介する。
www.londonjazzfestival.org.uk

渋くて甘い歌声に酔いしれる
An Evening with Paolo Conte

11月16日(土)19:30 £10~40

An Evening with Paolo Conteイタリアの著名シンガー&ソング・ライターであることに加えて、ピアニスト、画家、弁護士としても活動するという特異な肩書きを持つパウロ・コンテ。古き良きイタリア映画のサウンドトラックとして流れてきそうな渋い歌声が特徴だ。甘美なメロディーに合わせて「ドゥ・ドゥ」とささやくスキャットが印象的な彼の「イッツ・ワンダフル」は不朽の名曲。

Royal Festival Hall
Southbank Centre, Belvedere Road
London SE1 8XX Waterloo駅
Tel: 020 7960 4200
www.southbankcentre.co.uk

初心者のための豆知識 ①

「ひょうたんから駒」のようなスキャット唱法

スキャット唱法は、20世紀を代表するジャズ・ミュージシャンのルイ・アームストロングが発明したとされている。レコーディングの最中に譜面を台から落としてしまった彼は、歌詞を覚えていなかったことから適当な歌詞とリズムで録音を続行。これが後にスキャット唱法として広まったという。

ブラス・バンドの演奏で盛り上がろう
Riot Jazz + The Comet is Coming

11月17日(日)20:00 £15

Riot Jazz + The Comet is ComingプランBやディジー・ラスカルなどといった英ヒップホップ界のアーティストたちとも数多くの共演を果たしているライオット・ジャズ・ブラス・バンド。マンチェスター出身のメンバーが編成するこのブラス・バンドが、ファンク、ソウル、ヒップホップなどをごちゃ混ぜにした音楽で盛り上げる。クラリネット奏者のシャバカ・ハッチングスが前座として登場。

XOYO
32-37 Cowper Street, London EC2A 4AW
Old Street駅
Tel: 020 7354 9993
www.xoyo.co.uk

初心者のための豆知識 ②

ジャズ独特のノリは「スウィング」と呼ぶ

1930~40 年に流行した、主に白人を中心に編成された大人数のバンドで演奏するジャズの形態が「スウィング・ジャズ」だ。またジャズ特有のいわゆるノリを「スウィング」と呼ぶ。ジャズの演奏中に身体が思わず動いてしまうようなリズムを感じたら、それがまさしく「スウィング」の正体だ。

グラミー賞3度受賞したベーシスト
Christian McBride

11月18日(月)・19日 19:15 £25~40

Christian McBride世界で最も権威ある音楽賞とされるグラミー賞を3回も受賞した超一流のベーシストが、クリスチャン・マクブライドだ。音楽の名門校ジュリアード学院を卒業し、40歳の時点で既に300以上の録音に参加、「最も多くの録音を行ったジャズ・ミュージシャン」との称号を得た売れっ子ミュージシャンの演奏を生で観賞することができる稀有な機会。

Ronnie Scott's
47 Frith Street, London W1D 4HT
Tottenham Court Road駅
Tel: 020 7439 0747
www.ronniescotts.co.uk

初心者のための豆知識 ③

ジャズを聴くならロニー・スコッツ

ロンドンで最も評判の高いジャズ・バーの一つが「ロニー・スコッツ」だ。1959 年に同名のテナーサックス奏者がつくったジャズ・バーで、一年を通して世界中からジャズ好きがこの場所を訪れる。高級感たっぷりの内装と考え抜かれた抜群の音楽環境は、ジャズ初心者の心を即座につかんでしまうはず。


英国ジャズ界の若手ホープ
Reuben James

11月19日(火)22:00 £12

Reuben Jamesバーミンガム出身、弱冠20歳のルーベン・ジェームズは、英国のジャズ界で神童扱いを受けている若手ピアニスト。ジャズ、ゴスペル、ヒップホップ、クラシック音楽を取り混ぜた独創的な演奏で知られる。海外での注目も高まっていることから、「606クラブ」のような小規模のジャズ・バーで彼の姿を見られるのも今後は少なくなっていくかもしれない。

606 Club
90 Lots Road, London SW10 0QD
Fulham Broadway駅
Tel: 020 7352 5953
www.606club.co.uk

初心者のための豆知識 ④

ジャズなら遅くからでも遊べる

ロンドンで夜に行われるエンターテイメントは、開始時間が6、7時というものが珍しくない。会社勤めをしている人が週日に遊ぼうとすると、ほぼ定時にオフィスを飛び出すことになる。一方でジャズ・バーは深夜まで営業している場所が多い。残業後や食事後に遊びに出掛けたいという人にもお勧め。


制約なしのアドリブによる競演
Brad Mehldau and Mark Guiliana:
Mehliana + Sons of Kemet

11月21日(木)19:30 £10~25

Brad Mehldau and Mark Guiliana: Mehliana
+ Sons of Kemet米ピアニストのブラッド・メルドーが、ドラム奏者のマーク・ジュリアナとコラボを行う。予め決められたルールなしに、アドリブを果てしなく続けるという形式で演奏を披露。ジャズをジャズたらしめているアドリブの魅力を十分に堪能できるパフォーマンスとなるはず。アフリカ・南米系の音楽を組み合わせた「サンズ・オブ・ケメット」とのダブル・ビル。

Barbican
Silk Street, London EC2Y 8DS
Barbican駅
Tel: 020 7638 8891
www.barbican.org.uk

初心者のための豆知識 ⑤

ジャズの魅力はやっぱりアドリブ

ジャズを特徴付けているのがアドリブ。予め決められた譜面に従って演奏するクラシック音楽とは違って、一定のルールに従いながら即興で作曲と演奏を同時に行う、というスタイルだ。アドリブが終わったら、たとえ演奏中でも拍手をしたり「イエー」と快哉を叫んだりするのがお決まりのパターン。

「プロムス」出演歴もある異才
Gwilym Simcock's Eurozonee

11月22日(金)・23日(土)19:30 £15
24日(日)20:00 £20

Gwilym Simcock’s Eurozoneロンドンで毎年夏に開催される音楽の祭典「プロムス」にも出演歴のあるウェールズ出身のピアニスト、グウィリム・シムコックが登場。大手ピザ・チェーン店「ピザ・エクスプレス」が所有するジャズ・バーで演奏を繰り広げる。複雑かつ高度な音楽理論を駆使して奏でられる彼のメロディーが、ピザが行き来する少々猥雑な会場に響きわたる、異色の音楽空間となるはず。

PizzaExpress Jazz Club
10 Dean Street, London W1D 3RW
Tottenham Court Road駅
Tel: 0845 602 7017
www.pizzaexpresslive.com

初心者のための豆知識 ⑥

ジャズはお酒や食事との相性がいい

クラシック音楽や演劇などにおいては、パフォーマンスの最中に物音を立てるのはご法度。だがジャズ・バーでは、飲食や、状況によっては談笑までもが奨励される。演奏中に自然発生的に生まれる拍手の音や、グラスにお酒が注がれる音までもがバック・ミュージックとなるのがジャズの魅力だ。

摩訶不思議な「禅ファンク」を奏でる
Nik Baertsch: Ronin + Trio Red

11月23日(土)20:00 £14.50~29.50

Nik Baertsch: Ronin + Trio Red「浪人」という日本語を名とするこのバンドは、過去に「乱取り」「非思量」といったタイトルのアルバムを発表し、CDのジャケットには葛飾北斎の浮世絵を使用するなど日本文化から多大な影響を受けているのだという。自らの音楽ジャンルを「禅ファンク」と表現する、摩訶不思議なバンドが今年のロンドン・ジャズ・フェスティバルに参加する。

Kings Place (Hall One)
90 York Way, London N1 9AG
Kings Cross & St Pancras駅
Tel: 020 7520 1490
www.kingsplace.co.uk

初心者のための豆知識 ⑦

ジャズは日本人の心性に合う

日本人のジャズ好きはつとに有名。ジャズの本場である米国のニューオリンズのジャズ・バーへ赴くと日本人ばかりだった、といった逸話はよく聞かれる。また世界のジャズ界において、日本市場が占める割合はかなり大きいのだとか。ジャズは日本人の心性に合う、ということなのかもしれない。

 

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